鏡映し
□ゼッタイ条件
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「好きになるのって、嫌な事だね」
好きになった途端に、その人しか見えなくなって。その人を独占したくなって。
まるで子供のように。
エスカデは呆れた様に息を吐いた。
「嫌な訳があるか」
「だって、その人を手に入れる為なら、俺は何だってやるよ」
この手が血にまみれようとも。
君が逃げようとも。
その足に枷をつけて。その腕に鎖を巻いて。
鍵をつけた箱に永遠に閉じ込めてあげよう。
「何しちゃうか分からないよ。彼以外の何もかもを憎んでしまうよ」
「お前って恐ろしい奴だな」
カップに注がれた茶を、見つめながら。
ぐるぐるぐるぐる、思考は止まらない。
「怖いんだ。どうなってしまうのか」
目を開けた時。
そこに在るのは?
「しあわせを手に入れた瞬間、たくさんの不安が浮かぶんだ」
こんなにもしあわせなのに。それ以上を求めて。