鏡映し

□赤いそらのいろを映した鏡
1ページ/4ページ

 
「好きなんて、ならなきゃよかった」

そう言ったら、少し悲しそうに眉を八の字にして、それでもアイツは笑った。正確には、苦笑した。

「なんで?俺のこと、嫌い?」
「きらい…大っきらい!!」

あぁ、どうしてそれでも笑うの。
怒ればいいのに。呆れればいいのに。

「どうして?」

俺のことなんて、放っておけばいいのに。

「きらいだ…」

質問には答えられなかった。

「俺は嫌だなぁ」
「…」

何が、と訊くように首を傾げて顔を上げれば、其処にはいつもの微笑。

「だって俺は瑠璃が好きなんだもん。嫌いにはなれないよ」
「そんなの…」

俺には関係ない。…そう言いたいけれど、言えない。

「俺は困るよ。君に嫌われると」

苦しい。そんな、真っ直ぐ見つめられると。息が、出来ない。

「ね、どうしても嫌い?何処が嫌い?」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ