鏡映し
□赤いそらのいろを映した鏡
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「好きなんて、ならなきゃよかった」
そう言ったら、少し悲しそうに眉を八の字にして、それでもアイツは笑った。正確には、苦笑した。
「なんで?俺のこと、嫌い?」
「きらい…大っきらい!!」
あぁ、どうしてそれでも笑うの。
怒ればいいのに。呆れればいいのに。
「どうして?」
俺のことなんて、放っておけばいいのに。
「きらいだ…」
質問には答えられなかった。
「俺は嫌だなぁ」
「…」
何が、と訊くように首を傾げて顔を上げれば、其処にはいつもの微笑。
「だって俺は瑠璃が好きなんだもん。嫌いにはなれないよ」
「そんなの…」
俺には関係ない。…そう言いたいけれど、言えない。
「俺は困るよ。君に嫌われると」
苦しい。そんな、真っ直ぐ見つめられると。息が、出来ない。
「ね、どうしても嫌い?何処が嫌い?」