夢巡り

□繋がり繋がる
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小さく息を吐くと、老樹が優しく葉を揺らした。


『どうしたんだい?』
「…あなたに、答えを求めても良い?」


彼は賢人でもなんでもない、只の木。
草人のように植物との繋がりがあるわけでもない、庭先の樹。


『コタエは、君の中にあると思うけど?』
「………」
『でも、頼ってくれるのは嬉しいよ』


だってボクは君の家族だから。

その言葉にはっと顔を上げる。


「かぞ、く…?」
『違うかい?』


少し寂しそうに呟かれ、慌てて首を横に振る。


「そうじゃなくて、その、……嬉しかったから」
『霧は晴れたかな?』


心の中の、深い霧は。

コタエは、自分の中に。


「簡単なことだった。別に、構えることじゃなかった」
『君は賢いからね』


ううん、首を振って。


「あなたは、家族よね?」
『ああ』
「バドもコロナも、サボテンも」
『庭先の草人もね』
「華も」


言って、嬉しさと幸せで胸がいっぱい。


『だから、無茶はしないで』
「え?」
『心配するから』
「………うん」


ほんとうに幸せそうに、笑んだ。
  
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