夢巡り
□七つ葉クローバー
1ページ/3ページ
夕日色した空は沢山のことを知っている。
足りない言葉は要らないものしか伝えない。
只理解って欲しいだけで、別に罵りたい訳でもない。それなのに坂道をゆく、ブレーキの壊れた自転車は止まらない。
不器用すぎて、けれどそれは言い訳にしか過ぎなくて。求めたものは遠く離れてしまって。伸ばそうともしなかった腕は当然何も掴まなくて。乾いた空気さえ吐かない口は気持ちが悪い程水分を感じなくて。足は、動くことを忘れてしまっていて。
一度感じた温もりを手放すのは惜しすぎて。
唇を強く噛んで、価値の無い涙を必死で堪える。
行き着く先は同じなのに、どうして別の道をゆくの?
存外簡単に離れた手は、もう一度何かをもとめることは無かった。