鏡映し

□小さな恋のうた
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麗らかな日差しがそそぐペット牧場。限られた空間の中でそれでものびのびと動く回るペット達。
あっちへ跳ねて、こっちへ走って、互いにじゃれて。


「キスしてる」

「は?」


そんなペット達をぼんやりと眺めていたセンカが突如呟いた。
それを聞き咎めたバドが間抜けな声で応じた。因みに彼は、先刻まで庭で洗濯物を干すコロナの手伝いをしていて、今漸く解放されて一息吐きに来たところだ。

センカの視線を追うと、なにやら仲良さげにじゃれる二匹のペット。ラビとコカトリスだ。
よくよく見るとセンカの言うとおり、お互いに口の辺りを舐め合っているようにも見える。


「…餌が付いてたんじゃないのか?」

「キスしてるんだよ」

「いや、してないって」

「してるって」


母親の様に目を細めて二匹を眺めるセンカは譲らない。バドは馬鹿馬鹿しくなって会話を放棄しようとしたが視線は外せなかった。
この何気ない日常の一コマが、和やかで。


「平和だなぁ」


ぽつり、雨雫の様に降ったセンカの言葉。
水面に波紋を呼んだかのように、その一瞬後に風が流れた。
センカの金の髪を、バドの紫の髪を揺らして、また後ろに飛んでいく。

  
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