dreams…
□拍手御礼文倉庫
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新一夢
私は途切れる息で新一の元へと駆け寄った。
「何処行ってたんだよ?」
「っ、はぁ…ちょっと、ね。」
「あんま離れんなよ。」
愛嬌も早々、また彼の視線は真下の騒々しい人混みや、真上の暗闇に絡みとられる。
静まり返る、夜の屋上。二人だけの世界、なのに。
ねぇ、
「ほんと、キッドに夢中ね。名探偵さん?」
「向こうが挑発すんだよ、受けて立つだけだ」
軽い、(馬鹿みたいな)嫉妬に、漏らした言葉。
「新一…キッドを捕らえられる?」
キッと表情を変えてこちらへ振り向く新一までは、思い通りだった。
不意に口付けられた私の脚は、力を上手く込めることが出来ない。
地面に倒れ掛けた私の身体をぐいと引寄せ、抱き上げ、耳元でこう囁いた。
「…キッド、」
「はっ…?ちょっ、」
そのまま壁に寄り掛かっていった私と新一の身体。
「…会ってたんだろ?」
黙り込む私は、それがイエスを表すものだとは気付けなかった。
「自分だけを見てほしけりゃ、お前も俺だけ見てろ。バァロ…」
独占欲のキス。
少し、痛い。
キッド、ごめん。
私、今だけ新一を見てていいかな。
end