シリーズ?

『ファントムハイヴ家の寝室〜奥様の素敵なお誘い編〜』
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「・・・セバスチャン」




「坊ちゃん?こんな夜更けに私の部屋までいらっしゃるなんて、いかがなさいました?」




「・・・て?」




「坊ちゃん?」




「なあ、・・・して?」




「!?」




「セバスチャン、して? じゃないと、僕・・・」




「・・・坊ちゃん、何か変なものでも召しあがりましたか? まさか、昼間いらっしゃっていた劉様から「いかにも」なお菓子など、受け取っていないでしょうね?」





「そんなもの、食べてない」




「・・・でしたら、罠か何かでしょうか?」




「わ、な?」




「・・・おかしいですね。私の坊ちゃんが、こんなに素直に、夜のおねだりにいらっしゃる筈がないのですが・・・」




「・・・いや、なのか? 僕と、するの」




「いえ、嫌な筈は無いですし、寧ろ今すぐむしゃぶりつきたい欲求を抑えるのに必死なのですが、ただどうにも展開が胡散臭いもので・・・」




「・・・だったら、我慢する。お前が、したくないなら」




「・・・坊ちゃん?」




「僕は、したいけど・・・・。でも、セバスチャンがいや、なら、我慢する。・・・悲しい、けど」




「・・・据え膳食わねば何とやら。昔の人間は、素晴らしい教えを遺していったものですね。」




「セバスチャン?」




「覚悟なさい。朝が来ても決して離してあげませんよ?」




「ほんと、に? セバスチャン、うれしい・・・」




「ああ何て可愛らしい事を仰って・・・! 坊ちゃん・・・!」




「セバスチャンっ・・・!」








































「・・・で、貴様はいつまで、その気色悪い一人芝居を続ける気だ」




「何を仰っているのですか、まだまだこれからですよ。この後まずは坊ちゃんからの×××と×××と、ああ、あとは初めての×××と、それから―――」




「そこに直れ。その湧いた頭をすぐに蜂の巣にしてやる」




「ああ、枕元から拳銃など持ち出さないで下さい。全く、我が主人は何と物騒な・・・」




「やかましいっ!貴様が要らんことばかり言うからだろうが!」




「心外ですね。私はただ、昨晩貴方をこの腕に抱いて眠っている最中に体験した、生まれて初めて見た夢の話を、掻い摘んでお話しただけですが」




「貴様の夢なんか知ったことか!そもそもそんなものをベラベラと僕に聞かせる必要が何処にあるんだ!」




「ああ坊ちゃん、紳士たるもの声を荒げること無く常に冷静になさいませ」




「もっとまともな執事を召し抱えていれば、こんなに喉を枯らす必要も無かったんだがな」




「けれど坊ちゃん、なぜ人間があそこまで夢に固執するか漸く理解致しました。あれはまさしく、夢中になってしまう代物ですね。あんな素晴らしいものでしたら、何度でも見てみたいものです」




「・・・それは結構なことだ。だったらせいぜい、夢の中のお前好みの僕と、夢の中で仲良くやっていればいい。僕はもう寝る」




「おや、夢の中の自分に、嫉妬ですか?」




「自惚れのるのも大概にしておけ、この駄目執事」




「ご心配せずとも、私が愛しているのは、貴方だけですよ。こうやって、きちんと私の前に、今存在している、貴方だけです」




「って、こら、急にさかるなっ! 今夜は駄目だって・・・、ちょっ、ま、てっ、・・・あっ・・・!」




「愛していますよ、シエル」




「あっ、セバス、っ・・・」




「・・・ところで坊ちゃん、ちょっとしたお願いなんですが、夢の中でもして下さった、例のアレをぜひ―――」




「〜〜〜〜〜っっ、消えろ変態がっっ!!!!」







本日も、ファントムハイヴ家の寝室はにぎやかです。





end
















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