Sweet☆Motion

□第26話
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「ちょっと! 早くない!?」

「お前‥‥。俺は殆ど寝ずに迎えに来てやったのに、開口一番それかよ!?」





剛と会う日、当日。

自宅マンション前で、ちょっと眠そうな剛とのやり取り。





「寝てないの? こんな早くから待ち合わせるからだよ」





只今、朝の8時。

遠足にでも行くんかい!?って時間から迎えに行くと言ったのは、剛だった。

そんなに早くから待ち合わせなくても、私は逃げも隠れもしないのに。

そう思ったけど、相変わらずな剛は勝手に決めちゃったから、今日まで言い出せずにいた。

そうこうしてても、迎えに来ちゃったもんは仕方ない。剛の車に乗り込んで、横浜へと走らせた。





「横浜まで1時間弱位で着いちゃうでしょ? こんなに早くからどうすんの?」





これからの予定を聞いてみた。





「とりあえず、その辺ブラブラすればいいだろ?」

「剛って、お出かけ好きなの?」

「別に。」

「なんじゃ、そりゃ」





訳分からず、剛の返答に笑っていると





「やっぱ、雅は何も分かってねー」





と、呟いた。


だって、こんなに早くから出かけるなんてお出かけ好き以外何なのよ!?


そう思いつつも、剛の言葉を流してみた。



うん‥‥剛の言う通り。

私は剛の事全然分かっていなかった。

私が‥‥分かろうとしていないだけなんだよね。



車を順調に走らせ、高速道路へと乗る。





「剛、眠くないの? 大丈夫?」

「あぁ」

「でも、よくお休み取れたね。本当は、丸1日って考えてなかったんだ」

「俺にだって、休み位あるっつーの。つーか、休みねーと体持たねーよ」

「剛、若く見えるけど、結構いい年なんだよね」

「ウッセーよ(笑)」





ここまでの道のり、会話は途切れ途切れだった。

痺れをきかせた私が何か問いかけて、それに剛が答える。剛が答えると、また少し沈黙が続く。

別に会話の無い時間が気まずい事はなかったけど、剛から話しかける事が今の所無いのが私には不思議だった。

剛がわざわざ自分の休みを使って会うとか、色々聞かれたりするんだろうなって、思ってたから。



黙って、流れる風景を見ていると





「剛、違う! 右!」





剛は道を間違えて、横浜と逆方面へ行く高速をひたすら走らせる。





「ちょっ!? 何やってんのよ〜」

「ウッセーなぁ。わざとだよ、わざと」

「何がわざとなのよ(笑)。どう考えても、さっきの分岐点右でしょ」

「わざと遠回りしてんだよ! この為の早迎えだったんだよ」

「あんた、自分の間違いを認めないタイプなんだね」

「ちげーっつーの。これで帳尻合うじゃん。横浜なんてすぐ着くし。ドライブだよ、ドライブ」





本当にわざとなのか、天然なのか、どんどん横浜から遠ざかっていく道。

剛は変わらず何食わぬ顔で、運転を続けている。



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