Sweet☆Motion
□第17話
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家に着いた途端、我に返った。
私‥‥一体、何をした?
何を言った!?
深呼吸をしても体が震える。部屋に入るなりしゃがみ込んだ。
堰を切ったように涙が零れ出す。
「‥‥雅ちゃん‥‥」
とうとう本当に壊してしまったんだ。雅ちゃんは全然悪くないのに、自分の想いが届かないからって責め立てて‥‥。
「ウッ‥‥エッ‥‥」
我慢しようにも、洩れる声。拭っても拭っても溢れ出る涙。
私だって同じなのに‥‥
健ちゃんや准くんの優しさに甘えてきたくせに、どうして私が雅ちゃんを責める事が出来たの!?
誰よりも最低なのは、自分なのに‥‥。
止められない涙がより一層醜く愚かな自分を思い知らせる。
雅ちゃんの前では一粒の涙も見せなかったくせに、何故私は1人で泣いてるの?
ごちゃ混ぜになった感情が涙を止める事を忘れ去る。
このまま自分ごと壊れてしまえばいいのに‥‥。
ふと鞄の中から、携帯が鳴り出した。涙をふき、大きく深呼吸する。
微かに震える体。
聞き覚えのある声が耳に届くと、何とか冷静になろうと努めた。
「‥‥もしもし?」
『あ、彩ちゃん? 岡田です』
「准くん?‥‥どうしたの?」
『うん。‥‥寝てた?』
「‥‥起きてたよ」
『そっか‥‥』
闇の中にスッポリ入ってしまいそうだった心が、現実へと引き寄せられる。
会話は途切れ、無言が続く。
自分からは何も言えず、かといって電話を切る事も出来ずにいた。
『彩ちゃん』
「うん?」
『‥‥大丈夫?』
准くんの声は、とても申し訳なさそうに響いた。
『ごめん‥‥。どうしても心配で‥‥』
「准くん‥‥」
私は、間違った方向に進まずに済んだ方法が幾らでもあったんじゃないかと気づく。
何で、もっと助けてとすがらなかったんだろう。
そしたら私は、雅ちゃんの涙を見ずに済んだかもしれない。
「ありがとう、准くん。‥‥でもね‥‥」
『彩ちゃん?』
「もう、私に優しくしないで。優しくして貰える人間じゃないんだ、私」
『‥‥彩ちゃん、泣いてたやろ? また、自分責めとるんとちゃうの? 俺は‥‥』
「准くん。ごめんね」