「大丈夫‥‥かな?」
岡田が呟いた。健の真剣な表情を見たら、あそこは任せた方が良いと思った。
あんな状態の彩を初めて見たが、俺なんかより健の方が遥かに良いのは確かだ。
「大丈夫だろ‥‥」
ハッキリとは分かっていなかったが、岡田も多分‥‥。そう考えると、俺は酷い事をした事になるのか?
でも正直、彩が“剛が好き”と言った時、雅を早く見つけたいと思ってしまった自分がいた。
もし彩が泣いてた原因が‥‥。
そう考えると足はさ迷い、雅の姿を探し求める。
会場の裏に差し掛かり、人影を見つける。
「‥‥雅?」
声をかけると、勢い良く人影はこちらを向いた。
「昌!?」
お前‥‥何で泣いてんの?
雅の奥には、剛の姿。何故か俺はそれ以上近づけず、立ちつくしてしまった。
が、雅がこちらへ走り寄ってきた。
「昌!」
助けを求めるかのように雅は俺の腕を握り締め、体を震わせていた。
お前等、何があったんだ?
お前も、彩も、何で泣いてんだよ?
剛は立ちつくし、自分の右手を見つめていた。
そんな剛を、俺は見つめていた。