とにかく遠くへ―――‥‥
無我夢中で走る。
何も考えたくない。
もう、何も見たくない。
探しに行かなければ良かった。
目の前も、心の中も、闇の中。
「彩!?」
急に腕を掴まれ、我に返る様に足を止めた。そこには、昌兄が驚いた顔して私を見てる。
「どうした?」
「ハァ‥ハァ‥‥。‥‥昌兄‥‥」
「お前等探しに来たんだけど」
もう‥‥何も‥‥。
分かっていても、辛いモノは辛いんだ。
私は‥‥
「昌兄‥‥私‥‥」
昌兄は私の腕を掴んだまま、心配した顔を覗かせている。
どうにも出来ない感情が‥‥
「彩?」
見たくなかった事実を見てしまった衝撃は果てしなかった。
「私‥‥、剛くんが好き」
初めて言葉に出した。
剛くんが好き
剛くんが好き―――‥‥
それは、虚しさだけが押し寄せてきて、せきを切ったように泣き崩れてしまった。
子供のように、声を出して‥‥。
もう、こんな想い
終わりにしたい─────‥‥
Next.