Sweet☆Motion

□第13話
3ページ/4ページ



コンサートが終わり、私も彩もまだボーっとしていた。

熱気に当てられて頭がクラクラする。


私‥‥何で泣いてしまったんだろう。

みんなの頑張ってる姿を見て、涙が勝手に溢れてきた。

胸が苦しくなって、すがる様に彩の手を握っていた。





「雅ちゃん、健ちゃんが楽屋においでだって」





彩が携帯を握りながら告げる。





「え‥‥でも‥‥」

「スタッフに言ってあるから大丈夫だって。どうする?」

「あー‥‥。ちょっと待って。一旦外の空気吸ってきていいかな?」

「え? あ、うん。じゃあ、健ちゃんに伝えておくね。私待ってるから」

「うん。ごめんね」





そう言い残し、私は外へと出た。

普通に会えばいいって分かってる。でも、知らないうちに涙を流してた自分が恥ずかしくて、落ち着く時間が欲しかった。



夜風が体を通り抜け、心地良さを与えてくれた。もう少ししたら、彩の所に戻ろう。

そう思っていたら





「―――‥‥、雅?」





背後から名前を呼ばれ、振り返ると





「‥‥剛!?」





剛がそこに立っていた。





「な‥‥んで?」





上手く言葉が出てこない。そんな私をよそに





「お前がなかなか楽屋に来ないから、探しに来てやったんだよ」





相変わらず可愛くない言い方。剛の言葉を皮切りに、いつもの自分を取り戻す。





「あら、そ。ご苦労様」

「こっちは疲れんだから、待たせてんじゃねーよ」

「じゃあ、待たなきゃいいじゃん」

「テメー‥‥(笑)」





そう言って、笑い合う。





「お疲れ様。久しぶりだね」





そう言うと、剛は目を丸くして驚いた。





「何よ?」

「お前でも、そういう事言うのな」

「あのねー‥‥」

「つーか、お前何で泣いてたの?」

「へ‥‥?」

「へ?じゃねーよ。お前コンサート中泣いてたじゃん」





サラッと言う剛とは対照的に、私はただただ焦る。


え!? 何で気づいたの!?





「な‥‥泣いてないけど?」

「動揺してんのバレバレなんだよ(笑)」





剛は笑ってるけど、私は全然笑えない。


ヤバイ!


テンパる私に、剛は更に私の思考回路を停止させるような行動を取った。

一瞬の出来事で、何が何だか分からなかった。

腕を掴まれ引き寄せられたかと思うと、その瞬間



私の唇は、剛に奪われていた‥‥‥。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ