Sweet☆Motion
□第13話
2ページ/4ページ
「何か‥‥、緊張するね」
「アハハッ。雅ちゃん凄い顔してるよ?(笑)」
コンサート会場に到着すると私は一息ついた。隣で彩が笑ってる。
健ちゃんの計らいで、今日私達は初めてみんなのコンサートに訪れていた。
沢山のファンの子達を眺め実感する。
やっぱ、アイドルなんだな‥‥。
始まる前から皆興奮気味で、見渡す限り可愛い笑顔が花のように散りばめられている様で、私には眩しく見えた。
こんなにもファンの子達を目の当たりにするのは初めてだったから、みんなが遠くて大きな存在に感じる。
「分かってはいたけど、やっぱり凄いね」
隣にいる彩が、私に呟く。
彩も私と同じ事、考えてるのかな?
同じ気持ち、それだけで少し安心感を覚えた。
ツアーが始まってからはみんなと余り連絡も取っていなかったし、今日は純粋にファンの子達とこの雰囲気を楽しんでみようと思う。
これからの自分を見つめる為にも、そう思っていると会場が暗くなり、ファンの子達の黄色い声が会場を包む。
「凄っ‥‥」
楽しもうと思った矢先、物凄い声援に怯む。
「始まるね」
彩は満面の笑顔を私に向けて言った。私はただ、頷く事しか出来なかった。
もう、この場に立っているだけで精一杯。声なんて出し方忘れてしまったんじゃないかって思う位。
そうして、みんながステージに現れた時、鳥肌が立つのを全身で感じた。
貴方達はやっぱり、私と住む世界が違う人達
そう思わずにいられなかった。
雅ちゃんの緊張は、痛い位伝わってきていた。
そうだよね。ずっと、色々と悩んでたもんね。
みんなと会うのも久しぶりだし。
コンサートが始まり、みんながステージ上で歌って踊る。そこはとてもキラキラしていて、今の私にはこれ以上ないって位眩しかった。
みんなの笑顔も、周りのファンの子達の笑顔も
私の心だけもう純粋ではないと言われているみたいで
昌兄も博兄も快くんも
健ちゃんも准くんも
そして、剛くんも
私達を見つけて笑いかけてくれた。けど、嬉しい筈なのに泣きそうになる。
みんなを必死で見ていると、不意に、手に温かい温もりを感じる。
隣にいる雅ちゃんを見ると‥‥雅ちゃんの瞳からは、涙が溢れ零れていた。
私の手を握り締め‥‥。
「雅ちゃん‥‥」
私の声は、ファンの子達の声に消され雅ちゃんまで届く事はなかった。
無意識なのかな‥‥。
雅ちゃん、泣いているのは彼を見たから?
彼を見て涙が溢れてくるのは立派な恋だよ?
ごめんね、雅ちゃん‥‥。
私達、辛い恋選んじゃったね。