Sweet☆Motion
□第12話
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「送ってくれてありがとう」
「自分が送るって言ったから気にしなくてえーよ」
昌兄ん家での飲み会が終わり、准くんの言葉に甘えて送って貰っていた。
今日、初めて皆と会うのが怖く感じた。
いつも久々会える時は、ドキドキワクワクが勝っているのに、皆の輪の中で会話をまともに聞く事も笑顔を作る事も出来なかった。
微妙に、少しずつ、皆の関係が変わってきている。
きっと‥‥私のせいだ。
「彩ちゃん、大丈夫?」
「え?」
「顔色悪い気するけど‥‥」
お酒のせいなんかじゃないのは分かる。
「大丈夫だよ」
そう言うので精一杯だった。
「今日もまた、健くん潰れちゃったね」
「そうだね。何か皆と飲んだ時のお決まりになってきちゃったね」
「だね(笑)」
准くんからたわいのない事を話してくるのは珍しかった。
気を遣わせちゃってるんだろうな。それは分かるのに、どうする事も出来ない自分がいた。
満たされる事なく痩せてゆく心。そんな気持ちを抱えているのに、疲れ始めていた。
こんなにも笑えない自分、初めてだった。
違う‥‥。元々、醜い自分は潜んでいて、それが出てきただけなんだ。
「もうすぐ、ツアー始まるんやけど‥‥」
不意に、准くんが話しかけてきた。
「彩ちゃん、観に来れへん?」
「健ちゃんにも誘われたよ。雅とおいでって」
「うん、おいでよ」
「‥‥雅ちゃんが行くって言ったら考えるよ。1人では流石に行きづらいし」
「そんなもん?」
「そんなもん(笑)」
「‥‥やっと、笑った」
「え‥‥?」
准くんを見ると、准くんは微笑んでいた。優しく笑いかけられるから戸惑ってしまう。
「今日ずっと笑顔見れんかったから、今笑ってくれて少しホッとした」
准くんの言葉に胸が痛む。
どうして貴方達は、そんなに優しいの? 優しくされる資格なんてないのに。
「准くん‥‥私‥‥」
「えーよ。話したくなかったら、無理に話す事ないと思う」
私の気持ちを悟ってくれたように、優しく語りかける。
「話したかったらいくらでも聞くけど、‥‥そんな気分とちゃうやろ?」
そうだね。本当に話したい相手は他にいる私の態度は明らかで、今、何を話しても心が無いも同然。
だったら何も話さない方がいいに決まってる。
「ただね‥‥」
私が黙っていると、准くんが続けた。
「ただ、自分を責めたらあかんよ?」
「え‥‥?」
「彩ちゃん、自分を責めてるように見えるから。責めたらあかんよ? 責める必要なんてどこにもない」