Sweet☆Motion

□第9話
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堰を切ったように後から後から溢れる涙を止められず、私はただただ、健ちゃんの前で泣いていた。

こんな風に泣きたくなかった。

こんなに醜い私に、泣く権利なんて無いのに。


ただ見守る健ちゃんの存在が温かく感じた。





「帰ろう?」





そう言うと、健ちゃんは私の手を取ってゆっくりと歩き出す。


もう‥‥何も聞かないの?

そんなに優しくしないで‥‥。


それでも、健ちゃんの手の温もりは今の私には必要で、家に着くまでほどく事が出来なかった。



健ちゃん、私ね

人前で泣いたの初めてなんだよ?

私みたいな子が、人前で涙するのっていけない気がして、今までずっと我慢してたんだ。

我慢出来てた筈なのに‥‥。

健ちゃんの優しさに触れて、自分の愚かさに気づいて、我慢出来なかったよ。


私が私で無くなった気分。










安心と崩壊のはざまで

私の心は揺れていた。



いつか、この日の事を思い出す時

私は笑っているのかな────‥‥





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