遊蝶華伝
□転校生
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「おーい静かにしろー。では次…」
ガラッ、と扉が開く。
またも教室がざわめき始める。次に入ってきたのは、フランス人形のように可愛い少女だったのだから。
「うわぁ、外人だ…」
「今日は一体何なんだ?」
「しっかし可愛いな、ブロンド髪だぜ」
男子の声を遮るように、凛とした綺麗な声が聞こえた。
「私の名は、コロニス・メティス。フランス出身ですわ。お見知りおきを」
………。
「うぉぉ!喋った」
「声も可愛くね?」
何なんだ…。少し高飛車な匂いがプンプンする。しかし可愛らしい容姿のために男子にウケがいい。
すると今度は彼女が、アテナを視界にとらえた。
「!…また」
プイッ。
「………」
アヴェルの時とは違い、思いっきりそらされる。
「な??」
謎の転校生達の奇妙な行動に、アテナはただたじたじしていた。
「コロちゃん、一緒に食べよう」
「何が好きなの?コロちゃん」
どうやらコロちゃんで定着してしまったらしい。女子の話に、コロニスはウンともスンとも言わず、不機嫌そうにしている。
一方、アヴェルはというと。
「ジャジャジャジャ〜ン!みんな、オレのこと
はスピーて呼んでネ!」
「よし、スピー。なぁ、外国のこと教えてくれよ」
「何で日本に来たんだ?」
転校生というものは、ことごとく質問攻めにあうらしい。しかし反応の仕方はどちらも違うものだった。アヴェルはムードメーカーで明るく、コロニスはツンとした印象を与える。
アテナが2人を見回していたその時。
「いい加減にしてくださる!?」
バンッ!と机を平手で叩いた音とともに、コロニスが立ち上がった。
「私、馴れ合いに来たんじゃありませんの」
そう捨て台詞を残し、彼女は教室から出ていく。とんだ人物がやって来たものだ。アテナは何も起こらないことを祈るのだった。