□蒼ノ狂蝶
1ページ/15ページ

1「蝶」
───……世紀最大の栄光を気づきあげた未来に何があるというのか…権力や金に心を奪われた人間ばかり。
そのせいで欲望にまみれた人間の下には沢山の自由を奪われた人間達が蠢く…。


───……夜にも関わらず建ち並ぶ高層ビルは人工的な光りを放ち続けている。その中のビルの1つに黒い影が1つある。

「………………。」
黒い影は漆黒の服を纏う10代半ばの少女だった。
黒いロングコートに膝よりも少し短めの短パンを履いている。
コートが風で靡く度に足に描かれている蒼く色鮮やかな蝶の刺青が見える。
「っ…………。」
その少女はビルから飛び降りた。
落ちている間、少女は目を軽く閉じた。
閉じればあの日の光景が嫌でも浮かぶというのに……───「ただいまー…誰もいないの?」
おかしいなぁ…いつも帰って来たら誰か居るのに…。
「誰もいないのー…?」
もう1度問いかけ少女がリビングのドアを開けた。
そこで少女の目に写しだされたのは…部屋一面に広がった赤とその中心で横たわっている何か…そして部屋と同様に赤に染まった人影。
その人影の口は少女に気づくとぱっくりと開けられ不気味につり上げられた。

「あっ…あっ…ぃやぁぁああああっ…!!?」
少女は横たわっている正体に気づいた。
「ふっ…あは…あはははは……っ!!」
赤に染まった人影は笑いながら少女の前から消えた。その人影の手の甲には血で染まった蒼い蝶が描かれていた。


「っ…はっ……はぁ…はぁ…!!」
少女は目を大きく開いた。少女の位置は後、数メートルいうところにコンクリートの地面が接近していた。少女は呼吸を整えてゆっくりとしたスピードで体勢を整えて地面に着地した。
「………………。」
平然とした態度で少女は目の前の建物から出てくる人物を見た。
少女はその人物に向かって歩き出した。
「なんだ君は…?」
人物の周りにいた1人が少女に近づいた。
「お前じゃない…邪魔だ。」
少女が呟いた瞬間に、少女に近づいた男が倒れた。
「なっ……!!」
周りいた人達は唖然とするばかりだった……────。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ