main

□おトイレ事情
1ページ/2ページ


薄暗い真夜中に、九番隊の廊下を歩く修兵のヒタヒタという音だけが響く。

途中、何度も何度も拳西がいるハズの執務室の隙間から零れる光に振り返りそうになりながらも、小さな拳を握りしめながらプイッと顔を背ける事で我慢をしていた。


「ひとりで、できるんだもん…!」


自然と涙で歪んでくる視界を両手の甲でぐしぐし擦り、目指す場所へ一歩、また一歩と前進しようとするその懸命な姿は護ってあげたくなってしまうほど幼い。

しかし、ここで助けてしまえば修兵のためにならないと、霊圧を隠しながらも己を尾行する拳西の姿があるなど知るはずもない修兵は、嗚咽を漏らし始めてしまった。


「…っひ…ぅ…け、せぇー…っ!!!」


なんとか目的の廁前までは来たものの、ついに我慢の限界に達してしまい、廊下にしゃがみ込んでしまう小さな身体。

その痛々しい姿に親バカな拳西が堪えられるハズもない。

直ぐさま、ここまで頑張った修兵を抱きしめに行こうとした時だった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ