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□黒ネコの取り扱い方法
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お互いの仕事が忙しかったせいで久しく顔も見れなかったためか、バタバタと技局に入ってきた寂しがり屋の修兵が全力で俺の背中に抱きついてきた。
「阿近さん!阿近さんっ!」
ぎゅうぎゅう。そんな可愛げのある効果音なんてレベルじゃない手加減なしの抱擁に、俺の背骨が悲鳴を上げ始めても本人は気付いていないらしい。
寂しかったと目を潤ませ見上げてくる様は今すぐにでも押し倒したいぐらいだが、なんせこの密着度が邪魔をする。
そもそも状況が状況だ。
実験途中に背中に抱き付いてくるのは如何なものか。
「オラ、直ぐに実験終わらせっから離れろや」
未だに俺の背中に引っ付いている修兵の首根っこを掴み、なんとか引き剥がした。
「…………っあ!」
切なげな声を漏らしながら離れる温もりに、少しの罪悪感。
実験が終われば嫌と言うほど構ってやるんだ。
副隊長ならそれぐらい我慢出来るだろ。
そんな目線を修兵に寄越すと、本人はまだ諦めがついていないのか今度は真正面から俺に抱きついてきた。
「……っ修兵!」
「やだやだやだーっ!!!」