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□クリスマス素敵小説
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季節は12月。
この寒い中、俺檜佐木修兵(♀)は外でアルバイトをしている。
まぁ、ただのティッシュ配りなんだが…ぶっちゃけ寒いしめんどくさい。
配った分だけ給料貰えるから、なるべく多く配ることを心掛けてる。
慣れたら結構楽なんだけどな。
たぶん、バイトの中では俺が1番稼いでると思う。
ちなみに、2位は後輩の黒崎一護(♀)で、バイト探してたから紹介してやった。
俺が言うのもなんだが、一護はすげぇ可愛いと思うし、性格もいいし、結構モテる。
実際、ティッシュ受け取るヤツは9割が男だ。
まぁ、それは俺もそうだけど…←
あ、いじわるはしちゃあかんよ。イヅルはボクのやからv」なんて言ってた。それに、一護の彼氏が二箱ティッシュ持って帰ってたのを見た事がある。
「アタシがちゃぁ〜んと全部使いますからv」ってニコニコしながら持って帰った彼氏を見て、一護すんげぇ怒ってた。
「あんたと対等になりたいから、バイトしてるのにっ!!」って。
喧嘩するほど仲が良いって事でいいんじゃねーの?
んで、3位も後輩の吉良イヅル(♀)で、アイツの従兄弟がホストしてるみたいで、新宿に行けば俺より稼ぐ位だ。
従兄弟が一箱奪って客にばらまいたらしい。
「ボクの可愛い従兄弟がバイトしてるんよ。もし見つけたら受け取ってあげてなぁ。
それもあるが、恥ずかしがり屋で半分髪で顔隠してるけど、整った顔してるし、気配り上手でいいヤツだ。
従兄弟の事で色々悩んでるらしいからまた話聞いてやるか…。
で、1位の俺は…まぁ、その…実力もあるんだけど…三箱も持ってったんだ…拳西さんが…←
俺がバイトしたいって言ったらめちゃくちゃ反対されて、でもなんとか説得して…うん、大変だったなぁ…。
最近なんか特にだ。
クリスマス前だからってブーツにミニのサンタ服で配ってて、仕事帰りに俺を見つけた拳西さんに怒鳴り散らされた。
周りの目やバイト中にも関わらず…。
さて、拳西さんにバレないよう頑張って今日も張り切ってバイトだv
でも、やっぱりこの格好は寒い…。
まぁ、いつもの3倍はティッシュ配ってるけど。
「お願いしま〜す。試作品のソウルキャンディです。どうぞ〜v」
何種類かあってウサギのチャッピーが1番人気らしい。
俺はアヒルのユキが好きだけど。
にしても、ティッシュとキャンディを一緒に配るとかどーなん?って思うけど。
そんな事気にしてたらノルマ終わらないし、気合い入れるか…。
ふと前を見ると、人混みから頭1つ飛び出した赤が見えた。
デコや服の隙間から刺青も見える。
一瞬にして目を奪われた。
でも、俺はバイト中な訳で…そんな事気にしてられない。
そのまま配っていると、目の前が赤くなった。
さっき俺が見つけたヤツだ。
ちょうどそいつに渡せそうだから渡してみようとした。
そしたら…手が…手が離れないんだ。
いや、離して貰えなかったんだ。
「あの…手、離して貰えませんか…?」
「……」
無言で俺を見つめている。
話し出すのを待つ事にした。
「あのっ!! えっと…好きっす!!」
「…………………………はぃ?」
いきなり何を言うかと思えば好き?
こいつが俺の事を?
頭ん中真っ白になった。
「前々から気になってたんですけど、その服みたら我慢出来なくて…ホントに好きなんですっ!!」
周りなんか気にせずバカでかい声で叫ぶから、やっと正気になった。
とりあえず、この状況を抜け出さなければ…。
「あのさ…とりあえず、バイト中だから手、離して」
「あ、あぁ…すんません…」
「それに、時と場所を考えてくれ」
「え…?」
周りを見たそいつは自分の髪みたいに顔を真っ赤にした。
真っ赤になりたいのは俺だっつーの…。
「バイト終わったら話聞くからちょっと待ってて」
「あ、はいっ!!」
こいつ…絶対犬属性だ。
ミミをピーンと立てて、シッポをブンブン振ってるのが見える。
ちょっと離れた所から俺の様子を窺うレッド君(めんどくさいから勝手に命名した)の視線が…気になってしまう…。
あんなに熱心に見つめられたら…おかしくなる…。
「檜佐木、もう上がっていいぞ」
「え…? まだノルマ終わってませんけど…?」
「ほら、彼。怖いって他の女の子が言ってるからさ…」
「了解です…お疲れ様です…」
新しく入った女の子がかなりレッド君の事をビビってた。
まぁ、確かに背はでかいし、髪赤いし、刺青してるし…でも、なんか放っておけない…。
なんだろ…これ…。
私服に着替えてレッド君のもとへ駆け寄る俺。
「お待たせ」
「もういいんですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
「…………」
「どーした? 俺の顔になんか付いてるか?」
「いや…私服も可愛いんだなって…」
今日はお気に入りの黒のネコミミとシッポ付きのパーカーにジーパンというかなりラフな格好なんだが…まぁ、悪い気分にはならないな。
「サンキュv」
笑ってそう言ったら、顔逸らされた。
また顔赤くなってる。
こいつホント分かり易いな…。

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