とある魔術の禁書目録short story
□それぞれの決意
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「帰るぞ」
土御門元春に促されその場から立ち去る一方通行、海原光貴、結標淡希の三人。
辺りには死体が転がっていた。
それもひとつふたつの話ではない。
何十人分もの臓器や腕が元あった人間の体からバラバラになってある。
これを殺ったのはほとんど一方通行だった。
何の躊躇いもなく、彼ら…性別など分からないが虫けらのように一人一人殺った。
鉄臭い場所から少しずつ離れる。
夜風が先程までの場所のまとわりつくような熱気に慣れてしまった体には少し冷たかったがそれでも気持ちよかった。
地下街の空き店舗を利用した『グループ』本拠地に立ち寄った四人。
立ち寄ったという表現は正しいか分からないが…別に長居するつもりは全員さらさらない。
と言うのも、ここに来たのは今後の行動・作戦を考えるのに誰にも見つからない場所が欲しかっただけだった。
話は約十分程で終了。
溜め息をつき、適当に体をなげだす結標。帰るのが面倒くさい、そう体全体で表していた。
「こんなに早く終わるならわざわざ来なくて良かったじゃない」
「仕方ないだろ。今ここに安全な所はねぇんだから」
結標の愚痴に付き合うつもりはなく、適当にあしらう土御門。
「どちらにしろアイツの監視から逃れられる訳ないじゃない」
結標が言ったアイツという言葉に皆反応する。
結標自身、アイツのところだけ忌々しそうに言った。
こっそりとあの人からアイツにランクが下がっているのだが…
そこは彼女なりの小さな反抗と思ってもらって構わない。
「そんなことを言ったら学園都市から逃げないといけませんね。…もし出来たとしても無理だと思いますが」
「そいつに聞かれてヤバい話をしなきゃいいだろォが」
買った缶コーヒーに口をつける。
ある程度飲んで、気づいた。
土御門、海原、結標が自分をジッと見ているということを。
「…なンだよ」
「アンタにしては至極真っ当な意見だなぁ…って思って」
「少しはリードのついた犬を意識してんだなぁ…って」
「らしくないなぁ…って思いました」
その言葉に溜め息を漏らす。