向日葵のように
□刻々と
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ゆっくりと、眼をあける
早朝 沢田家では誰一人として起きていないであろう時間
まだ日が昇らない薄暗い部屋の中に藍那はいた
「今出てけば、誰も気づかないよね」
「……何に?」
独り言にまさか返事が来るとは思っていなかった
急いで後ろを振り返る。獅龍とかだったら面倒だ
「神夜…?」
部屋の入口に居たのは銀髪でも赤髪でもない
黒髪。神夜の目元は微かに赤くなっていた
「どこ…行くの」
「…神夜も行く?」
「楽しいの?」
うーん、どうだろう
藍那は苦笑する
今から自分が行くところは楽しくは決してない
むしろ、正反対
「ついて来てみればわかるよ」
「……アイツら守れる?」
「あたりまえ!」
だって守るためにウチは
いつもと同じ、だけど少し違う
二人が姿を消した
そんな沢田家の早朝