等身大の僕ら

□チューリップの咲いた日
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せっ せっ せっ
 
「しゅん 何やってんの?」


「たっ大変ですよっみんなのチューリップ鉢に雪がいっぱい…っ
これじゃさむくて花なんか咲かせませんよ」


「はやくのけてあげないと…っ」


「あのなーしゅん

チューリップってのは案外強いもんなんだよ
んなことしなくても雪とけたら立派に芽ぇだすんだぞ」


「えーっ そうなんですか?」


「うん春になったらパパッと花咲かすんだぞースゲーんだぞー」


「わかったらホラ!さっさと中入んぞ」




    チューリップの咲いた日


ぐーーーーーーきゅるきゅるきゅる

屋上に空腹を知らせる音が響く


「(おなかすいた 悠太くんたち遅いなー)」


自販機こんでるのかな?と言いながら水筒のふたを開けしめして一人遊びをしているのは先ほどの音を響かせた張本人 松岡春



春しかいないはずの屋上に嵐が駆け込んできた


バンッバタバタバタバタバタ


「(うん?)」

少なからず、不審に思う春


そこには・・・・

まだ春よりも小さく、幼い少女が眼にうっすら涙を浮かべ立っていた

少女の膝小僧には擦りむいた傷がある


少女が泣いていたのはそのためだ


そして春はここで少女をほっとくような性格ではないため
彼女にバンソコを渡す。


「よかったらこれ、使います?」


ギッ


「えっ」


にらまれる


「よっけーなお世話!!」


叫ばれる


「・・・・・(ドキドキ」


ビビる

たたたたたた

逃げられる


キィ・・・・  バタン

悠太たちとジュースを買いに行ってたハズの琥穏が帰ってきた


「おゎ?!」


出入口の前に立っていたためおもいっきし少女におされた


ドンッ ズベッ


「…いってぇーっ」

おされたときに後頭部を打ったようで頭をさすっている

そうこうしているうちに少女は逃げてしまった


「い、今の女の子追いかけましょ!」


「え?…なんで」


頭打ったオレより少女のほうが心配なんだ・・・・
小さく呟く琥穏


「いいからはやくいきますよ!!」


「お、おぅ?!」
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