等身大の僕ら

□ボクらの17回目の春に
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    春もうらら
     桜は満開


  桜吹雪が舞い上がるというより

     砂ぼこりの舞う春は


    育ち盛りの少年たちにとって

  少しの腹の足しにもならない






「あー風強ぇー」



「誰だよ、屋上で弁当食おうなんて言い出したのは」



要が愚痴をこぼすのを琥穏は出たよ…という目つきで彼をみる
しょうがないのだ。この人は世間で言う『ツンデレ』なのだ
勝手にそう思ってみたりする



「えー、だって天気いいのに教室じゃもったいないじゃないですか」


だから春だってこうしてフォローをしているのだ
そういうのが好きな人からみたら

超可愛い!!抱きしめたい!!

と思われるのだ。要は。
と琥穏は勝手にその場面を思い浮かべてみた
ちょっと昼食時間に優れないと思ったのでやめた



ボクらは穂稀高校の2年生になった。


春は近所のおばさんに「もうそんなになるのねー」とか言われたり
浅羽兄弟は親から「もうお年玉はいらんな!!」とか得意げにされたり(そのとき父親を蔑みの目で見てやったが)
要は母親に「もうお母さんなんて必要ないわね…」とか泣かれたり(慰めたりするのが大変だった)

琥穏に至っては近所にある公園で「兄ちゃん…じゃねぇ!!兄貴って呼ばせてください!!」
と偶然、犬に襲われているのを助けた少年に叫ばれ(丁重にお断りした)


僕らは、少しずつ大人になっていく





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