等身大の僕ら

□偽善とか何とか
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ゆっくりと、ゆっくりと浮上する意識


それにつられて、持ち上がる瞼





見えた世界は白色で、あぁ…



「ほけ、んしつ」



いつの間に運ばれたのかと、でもよくよく考えてみればあの屋上での出来事から、意識はなく


ほのかに夕日色をしている部屋から、結構な時間が経ったということが分かった



「琥穏くん!!」


仕切られていたカーテンを開ければそこにはいつもの奴らがいて


「もう大丈夫なのか!?」


「要、そんなに叫んだら頭に響くよ」


祐希が言う。要が激昂する
いつもと変わらんな、まったく
怪我人だぞ。オレ


パッと視線を変えると、今にも泣きそうな春の姿。
あぁ、もしかして自分に責任感じちゃってる?


「琥穏くん…ボクのせいですよね……。ごめんなさい!あのとき置いて行ったりしなければ!!」


『まぁまぁ、いいじゃないか。オレ、無事よ』


あとで聞いた所によると春が戻ってくるより早く、要たちが到着したらしい

ま、誰だって驚くよなぁ…
倒れてんだもん、人。


「軽い脳震盪と出血だって。無事で何より」



無事じゃないけど…
その言葉は悠太の顔を見た途端、引っ込んだ

良かったと。顔に書いてあった
滅多に感情を表に出さない悠太の表情は、安堵という二文字だった


うわぁ…悪いことしちゃったの?
これ、オレが悪いの…?
謝ればいいのかな?


アレ?でもオレ……



何もしてなくね?



少女がイキナリ入ってきて…当たったんだもん。扉が


………あ


『しょ、少女は!?』


「被害者は…今のところ、琥穏と要と春だけです」


すました祐希。あ、コイツ被害ねぇな



「帰ろ?先生に言っておいたよ」


悠太がいつの間にやら、先生に報告してくれたようだ
ありがたい…お兄ちゃん







『災難でしたなぁ…』


保健の先生によると、包帯はしばらくとれないらしい
かっこわる…


「琥穏はいつも無理しすぎだよ」


うわぁ…そういうの、なんかズルい
悠太のくせに悠太のくせに悠太のくせに


そこまで言って、思い出した
悠太のあの表情。

そのことに胸が少し痛む
あぁ、心配させたんだ。オレ


『ねえ、悠太ぁ』



 優しさとか偽善とか、結局は
(人の感じ方次第ってもんでしょ)







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