等身大の僕ら

□来たる春
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オレの 記念すべき







十七回目の春が来た






「ねぇねぇ、みてあの人。カッコいいね」

「男の子かしら?それとも女の子?」

「バカ。男にきまってるでしょ」



町を歩けば、道にそんな声が漏れる
女の子たちの視線の的は


カッターシャツにパーカーを羽織って、背中にリュック
正真正銘、学生さん


綺麗な黒髪の後ろには、ちょんっと効果音の付きそうな髪が一束結んであって。

そんな学生さんは、女の子たちの声を聞いて一言


『オレ、女なんですけど…』


ため息交じりに言った一言
誰も聞いていないのか、その言葉に反応する人はいません

し・か・し!!言葉には反応せずとも、みんながその容姿にいったん足を止めるのです


綺麗な黒髪、バランスの良い体、スラッと長い四肢

そして何より、整った顔


美形。そう呼ぶに事足りません
女の子たちが騒ぐのも一理あります
一緒に幼馴染の双子と町を歩いた時には町も大変でしょう


ですが、この美少年


天上琥穏くんは


美少年ではなく


美少女だったのです!



男の子に見える。というだけで

体はどうやっても女の子
心は男の子ですが…



そんな琥穏くんは朝の通学中
あくびをかましながら歩いていきます




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