向日葵のように

□花が透けて
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倒れた獄寺たちを治療するため、向かったのは病院ではなく



並中


Dr.シャマルにより二人に治療が施されていた



現在、獄寺のベッドの周辺にビアンキ、綱吉、山本が集まっているため
獅龍のベッドには緋漣しかいない



「……」


俯いたまま獅龍から眼を離さない緋漣
一見ぼーっと眺めているようにも見えるが、緋漣の拳は堅く閉ざされていた


ドアの向こう側から、リボーンの冷静な声と綱吉の叫び声が聞こえるのも気にせず
相変わらず緋漣の眼は後悔に染まっていた

と、突如聞こえるうめき声
獅龍の眼がぼんやりと開かれる
緋漣の眼が一瞬大きく見開き、



「バッカやろ!!」


「……おま、怪我人にそれはねぇよ…」


緋漣の口から飛び出てきたのは、感謝でも謝罪でもなく、罵声だった
予想していた言葉に痛みを感じながらも苦笑する獅龍


「なんでこんなことしてんだよ!」


お前、死ぬかもしれ…
また後悔で埋め尽くされたのだろう
緋漣の言葉は最後まで続かなかった


「いや…ぶっちゃけると俺、こうなるの知ってたんだよなぁ…」


「…は?」


「は?って言うな。いや、だから寮部屋の掃除してたら、藍那か誰かが置いたままの漫画を発見したんだ」


少し困ったように笑いながら獅龍は続ける


「で、気になってたまたま開けたページが、ちょうど例のシーンだったっていいますか…」


「…じゃあ、隼人が傷つくことも、なんでオレが焦ってたのかも、気づいてた?」


「ご名答。まさか…と思ったら的中だしビックリした」


獅龍のまさかのカミングアウトに若干呆れつつ、ため息をつく緋漣
緋漣の口が薄く弧を描いているのを獅龍は見逃さない

「はぁ……綱吉が多分、敵地向かうからオレ行くけど、どうする?」


「…普通聞くか?」


「念のため」


ひょいとベッドから起き上がる獅龍
並中を出て、綱吉の家もとい自分たちの家へ向かう
ちなみに二人が保健室を出たとき、獄寺の姿はもうなかった


「骸ってやつムカつくよ!」

綱吉の本心が現れるまで、あと少し
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