黒子のバスケ
□第2Q
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そして秀徳高校に進学して、ライバルもいなくなりやっと真ちゃんと夢にもみた甘美なスクールライフがおくれると思ったのに、
真打ち登場とばかりに現れたのは、最強のハイスペックを持った高尾和成だった。
そして今日も自転車の後ろにリアカーを繋げたチャリアカーと呼ぶものを邪魔にならないように端に寄せてすでに真ちゃんを迎えに来ていた。
お前さんは待ち合わせに絶対遅れないように来る優しい彼氏かコノヤロー。
「うーっす!真ちゃんおっはー!…あ、ななしちゃんもおはよー!」
笑顔満開で現れた高尾君は真ちゃんに気安く肩を叩いて挨拶をする。
真ちゃんは肩を捻ってそれをいなしながら「おはよう」と返答した。
真ちゃんの家の玄関先の物陰に身を潜めていた私に気付いて同じように挨拶をしてきた。
さすが鷹の目。侮れない。
私も高尾君に挨拶を返すと、もうあとは二人の世界とのばかりにジャンケンをし出した。
「それじゃ真ちゃん、ジャンケンすんぜ!」
「朝っぱらからうるさいのだよ高尾。近所迷惑だ。」
「へいへい、悪かったって。はい!ジャンケーン」
「わかっているのか高尾!」
高尾君の気のない返答に納得のいかない真ちゃんは言い返すが勝手にジャンケンの掛け声を始め、
真ちゃんはそれに無意識に反応して手を出した。
真ちゃんはパー。
高尾君はグー。
結果は真ちゃんの勝ち。よって自転車を漕ぐのは高尾君の役目となった。
いつもの光景だ。
「ちぇー、また真ちゃんの勝ちかよ。俺一回も勝てないんだけど。」
「当たり前だ。俺はいつ如何なる時も最善の人事を尽くしているのだよ。それに不意をつくとは卑怯なのだよ。」
「いや、ワケわかんねえから。ジャンケンにどんな人事を尽くすのだよ。マジ真ちゃんカーワーイーイー。」
ちょっと!高尾君聞き捨てならんぞその言葉!真ちゃんが可愛いのは百も承知。だが、お前さんが簡単に言っていい言葉ではないぞ!
私はそう心の中で荒ぶりながら高尾君を睨んでいると、突然こちらを向いた高尾君が声を掛けてきた。