私の永遠をあなたにあげる
□立場逆転
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♪〜♪〜♪〜
『…んぅ…』
携帯の着信音で目を覚まし、冴えきらない頭で通話ボタンを押す。
「おはようさ!今どこ?」
『ラビ…?……あっ!!』
忘れてた…、今日一緒に買い物する約束してた!
「まさかまだ家とか言わねぇよな?」
うわ、ちょっと怒ってる…
『ご、ごめん!すぐ行くから!』
「マジ?まだ家!?ありえねぇさ!」
散々私がお願いして今日買い物に付き合ってもらうことになったのに、ラビが怒るのも無理はない。
「30分以内!それ以上遅れたら俺帰るさ」
ブチッ!ツー…、ツー…、ツー…、
それだけ言ってラビは電話を切った。
『やばい…』
私は自分史上最速で準備をし、ラビとの待ち合わせ場所に走った。
はぁ、はぁ、はぁ、
携帯を取り出しラビとの通話記録を確認する。
『うわっ、あと5分!!』
肩に下げた鞄を抱え直し、一生懸命に走った。
『あ!』
ラビ!
私は少し先に、赤髪の一際目立つ少年を見つけた。
「うぉ、マジで30分で来たさ」
こんなに必死に走ってきた私にラビは少し驚いたような、少し呆れたような表情をした。
『はぁ、はぁ、はぁ、だって…、ラビが、』
息も絶え絶えに私がそう言うと、
「悪りぃ、悪りぃ、」
とニコニコとラビが機嫌良さそうに答えた。
「にしても、ひどい格好さ」
適当に選んだ服に、セットしていない髪。
ラビは私の寝癖をペタペタと撫でつけながら、なんだか笑顔だった。
「俺のために走ってきてくれたんさ?そんなに俺と一緒にいたかったんさ?」
走ってきたせいでまだ高揚している私の顔を覗きながら、ラビがニヤニヤと嬉しそうに言う。
『べ、別に…//だって、ラビ怒ってたじゃん!』
なんだかさらに顔が熱くなる。
「いやぁ、俺のために必死になるお前が見たくて」
目を細めてニコッと笑う彼の眩しい笑顔に私の血管が一本切れる音がした。
『ごめん帰るわ』
「え!?ちょ、ちょっと!冗談さ!なぁ!待つさ!!」
立場逆転
『じゃあ、今日1日ラビが荷物持ちやるなら帰らないであげる』
「はいはい、わかったさ」
まだ赤いままの私の顔を見てラビは満足そうに笑っていた。