私の永遠をあなたにあげる
□ハニーシロップのきずぐすり
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『?』
机に突っ伏していた頭の上にいきなりずしりと重量を感じた。
それはきっと誰かの手で、私は自分の後頭部にその手を乗せているのが誰なのかを確認しようと頭を上げようとした。
『んっ……、』
しかし、頭はその誰かさんの手によってがっしりと押さえ付けられていて、ピクリとも上がらない。
『ちょっと!誰!?』
上がらない頭を必死に持ち上げようと抵抗しながら言うと、
「うるせぇ、」
と低い声でぼそりと言い返された。
『なんだ、神田か』
という私に対して、なんだとは何だ、と不服そうな声が聞こえる。
『なんだはなんだだよ』
机に押しつけられている額が痛い。
「アイツなら良かったか」
神田のその言葉に私の胸はチクリと痛む。
『べ、別に…』
思いの外上ずった声に、“別に”では済まない自分の気持ちを思い知る。
ジンジンしはじめた額なんかより、もっと、もっと痛む胸の傷。
「泣きたきゃ泣けよ」
さっきよりさらに低い声で神田がつぶやく。
「こうしてりゃ、顔見えねぇだろ」
そう言って神田はさっきまで押さえ付けていた手の力を抜いて、ポンと軽く私の頭を叩いた。
その手の重みと優しい言葉に、
涙が出た。
そして神田はそんな私の頭を、ずっと優しく撫でていてくれた。
ハニーシロップのきずくすり
ほんのり甘い彼の言葉は
深い傷口によく染みるのだった。