人魚姫

□遭遇
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名無しさんは式を飛び出し、海面まで泳いできていた。






名無しさん「パパったら…いつも横暴なんだから…でも今回だけは許せない!!」






海面から顔を出し、プカプカと流れに身を任せる。
人魚は地上でも呼吸が出来るのだ。
太陽の光に目を細めながら、伸びをした。






名無しさん「ん〜、地上は気持ち良いなぁ〜…って人間だっ!!やばっ!!」







遠くから近づいてくる人影を見つめ、慌てて名無しさんはちゃぷんと水に潜った。






















菊丸「俺が一位だもんね〜♪」


乾「ここはペースを保ってラストスパートだな…」


大石「皆、なかなかやるなぁ〜」


河村「どけどけ〜!!バーニング!!」







河村はラケットを背中にしょって泳いでいる。
皆を押し退け、ずんずん進んでいく。







不二「フフッ…タカさん、早いね。」


手塚「うむ…もう少しだ。油断せずに行こう!!」






一方、海堂桃城はお互いしか見えていないようだ。
少しルートを反れつつバトルを繰り広げている。






海堂「フシュ〜…てめぇには負けねぇ…!!」


桃城「それは俺の台詞だ!!」













そんな光景を見て、名無しさんは羨ましいと思っていた。





名無しさん「いいなぁ…人間は楽しそう…」






ふと違う方を見れば、一人の少年、リョーマが皆と違う方向へ泳いでいた。






名無しさん「あの男の子…皆と泳がないのかな??」






名無しさんはリョーマの後を追った。
気づかれないように一定の距離を保つ。






リョーマ「ふぅ…水泳競争なんて、勘弁…」







すぃ〜っと泳ぐリョーマ。
名無しさんは気がつくと、その姿に見とれていた。






名無しさん「綺麗…」






ボーッと見つめていた名無しさんは気付かなかった。
リョーマが波の荒い場所へ向かっていた事に…






リョーマ「なんか波が荒れてきたかな…??そろそろ戻ろう…っ!?」





波が大きくなってきた事に気づいたリョーマは、方向を変えて泳ぎだそうとしていた。
しかし、突然大きな波がリョーマを飲み込んだ。
名無しさんもそれに気がつく。






リョーマ(上手く泳げない…!!)





ジタバタともがけばもがくほど沈んでいく…
リョーマは息が続かなくなってきた。






リョーマ(もう…駄目だ…っ)






リョーマは意識を失った。
名無しさんは荒波に流されながらもリョーマの腕を掴んだ。





必死に泳いで、人影の無い浜辺に辿り着いた。
肩で息をして、リョーマの頬に触れる。






名無しさん「はぁっ…君…しっかりして…っ」






リョーマの反応は無い。
名無しさんは戸惑っていた。






名無しさん「どうしよう…仕方ないよね…早くしないと死んじゃう!!」






名無しさんはリョーマの顎に手を添えて、人工呼吸をした。
一度では反応がなかったので数回繰り返す。





名無しさん「しっかりして…目を覚まして…!!」





すると、リョーマはうっすらと目を開いた。
頬を撫で、ニッコリと微笑みかける。
リョーマは少し眉をひそめて名無しさんを見つめた。




リョーマ「あんた…だ…れ…」





リョーマは再び意識を失い、目を閉じた。
名無しさんは慌てたが、今度はただ眠っただけのようだ。
名無しさんはホッと胸を撫で下ろし、遠くから少年を呼ぶ声と足音がしたので、慌てて海へ入った。







手塚「いたぞ!!越前!!」


大石「…眠ってるだけみたいだ。」


桃城「よかった〜;ビビらせんなよ〜!!;」


乾「とにかく部屋に運んだ方がいいな。」


河村「そうだね。」







河村はリョーマをひょいっと抱えあげる。
レギュラー達はホテルへと戻って行った。






名無しさん「…越…前…??」
 

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