Love Game
□一歩前へ
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(仁王side)
今日はゲームのターゲットになる奴が来る日か…
俺はザワザワと騒がしい教室で、机に頬杖をつき窓の外を眺めていた。
教室の窓際の一番後ろの席、本当はそこがよかったんじゃが…
実は俺の席はその隣。
ま、この席に例の転入生が来るみたいやけ…ラッキーという事にしておくか。
担任「おーい、席につけー。」
担任の声で皆自分の席につく。
いつもはダラダラしとる奴らも、今日は転入生が来る為か素早く動いていた。
丸井「仁王!!いよいよスタートだなっ!!」
仁王「ブンちゃんは朝っぱらから元気やのぅ…」
丸井は俺の斜め前の席、転入生の前の席じゃよ。
待ちきれないのか、ソワソワしながら身を乗り出している。
男子生徒「先生〜!!転入生まだ〜!?」
担任「まぁ、慌てるな。」
男子生徒「可愛い!?」
担任「それはもう、かなりな!!笑」
先生も転入生が可哀想やけ、可愛いって言っとるんじゃろ…
俺はそう思っていた…
その時は。
担任「よし、じゃあ成澤〜、入って来い!!」
ガラッ
仁王、丸井「「…っ!!」」
俺と丸井…いや、クラスの男子も女子も…一瞬金縛りにあったかのように、体が動かなかった。
なぜなら、今教室に入って来た女の子が…本当に綺麗だ可愛かったからだ。
唯「成澤 唯です…///」
担任「成澤は親の仕事の都合で引っ越して来た。困っていたら、皆助けてやるように!!」
唯「よ、よろしくお願いしますっ///」
身長が低くて、華奢で…いかにも「守ってあげたくなる子」じゃな。
あの幸村と真田も顔を赤くするくらいだ。
担任「席は…窓際の一番後ろだな。仁王!!」
仁王「…はい。」
俺が軽く手をあげると、転入生は俺を見た。
俺が少し微笑むと、彼女も照れながら微笑み返した。
担任「あいつの隣だ。まぁ、わからん事があれば仁王にでも聞けばいい。」
唯「はい。」
彼女はゆっくりと席に向かって歩き出す。
クラスの女子は「いいなぁ…うらやましい…」と嘆いている。
仁王「よぉ、転入生さん。よろしくな。」
唯「あ、は、はい。よろしくお願いします!!」
仁王「ククッ…同じ学年で同じクラスじゃ、敬語なんか使わんでええよ。」
唯「は…うん!!///」
仁王「仁王雅治。唯って呼ばせてもらうぜよ。」
唯は一瞬驚いた顔をしていたが、ふわっと微笑んで頷いた。
丸井「仁王だけずるいぞ!!」
仁王「ブンちゃん…邪魔するんやなか。」
唯の前に座っていた丸井が振り向いて唯に話しかける。
…ブンちゃんにはこれからも邪魔されそうじゃ…
丸井「俺、丸井ブン太!!シクヨロ☆」
唯「私は成澤唯…ってさっき聞いたよね…///」
そう言って恥ずかしそうに少し俯いて笑う唯。
…やばい、本当に可愛い奴じゃな。
丸井「俺の事はブン太でもブンちゃんでもいいぜっ♪俺も唯って呼んでいいか!?」
仁王「ダメじゃ。早いもん勝ちぜよ。」
唯「クスッ…いいよ。じゃあブンちゃんって呼ぶね??」
仁王「じゃあ、俺の事は雅治って呼びんしゃい。」
唯「仁王くん、じゃダメなの??」
唯は首を傾げてきょとんとしている。
仁王「…雅治って呼ぶまで返事はせんよ。」
唯「え〜っ!?仁王くん〜!!;」
俺はわざと唯に背中を向けた。
後ろでは唯がオロオロしながら俺を呼んでいる。
唯が可愛くて俺も丸井も笑いを堪えとった。
唯「ま…雅、治??///」
仁王「何じゃ??」
俺がにっこりと振り向くと、唯はホッと胸を撫で下ろした。
それから1限目の授業が始まった。