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□伝説と新人U
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―――やっぱりね。
特命部だなんて、ただの噂。
私の実力なんかで
そんな高嶺の部署を狙えるなんて
最初から思っていなかったけど
でも、やっぱり悔しい…な。
美月の所属先は回収課と発表された。
この決定には誰もが驚いたが、意義を唱える者も誰も居なかった。
死神派遣協会回収課は協会の中でも1、2を争うほどの多忙な部署で、個性豊かな死神達が派遣員として毎日馬車馬のように働いていた。
「回収課…か」
寮に帰る道すがら、ボンヤリ空を見上げながら歩いていると、ふと後ろから声が掛けられた。
「君が噂の美月だね?」
カツコツカツコツン…ッ…!
振り向くと、思いがけない人物が立っていた。
「…っ!?きょ、協会長!?」
「やあ〜♪そんな固くならなくても大丈夫だよ」
死神派遣協会協会長。協会の最高責任者であり、死神適性テストを過去最高得点で合格した優秀な死神でもある。
勿論、雲の上の存在であり、こんな道端で出会うなど想定外中の想定外。美月は驚きのあまり固まるが、協会長は至ってマイペースだった。
「所属先が回収課に決まったそうだねぇ」
「…は、はい」
「どうだい、感想は?」
「……え?」
何故そんな事を聞くのだろう?そう思っていると、意外な言葉が聞こえてきた。
「私としては【特命部】に入って、私の元で頑張ってもらいたかったのだが……あのお馬鹿が…」
「お、お馬鹿?」
一瞬聞き間違いかと思ったが、そうではなかった。協会長は誤魔化すように笑って取り繕うと、本題を投げ掛けた。
「いいや、なんでもない。ところで、少しお使いを頼まれて欲しいんだが…構わないかい?」
「はい、それは勿論です」
「ヒヒッ…感謝するよ」
協会長は嬉しそうに口元を綻ばせると、懐から一通の封書を取り出し美月に渡した。
「じゃあ、コレを―――」
その手紙の届先を聞いた途端、美月は一瞬息の根が止まるほど驚いた。