骸さん、大好きです。

□暇つぶし・中編
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「うーん・・・これからどうしようか?」
「これからといいますと?」
沢田綱吉は伸びをしながらそう言った。
電話をかけてから、数分たっている。
相変わらず彼はソファでゴロゴロしていた。

「電話もかけたし、そろそろ獄寺君たちも来ると思うんだよね、ここに」
それはまずい。
僕が彼をかくまっている(?)ことが二人に、犬と千種にばれてしまうッ・・・!
「・・・ここにこさせるのは、得策でないと思うんですが・・・。
 また電話をかけて、誘導してみませんか?」
「んー、そだね。犬と千種さんにめーわくかけらんないし。」
「僕にはいいんですか」
「だって守護者じゃん」
ケラケラと彼は笑う。
僕は仕方なく譲歩することにする。
どうせ僕が彼をアルコバレーノに差し出したところで、僕へのなんらかの行為は変わらないだろう。
それならば、最後までやってしまったほうが、


・・・・面白い。


「アルコバレーノ、今アナタの家にいますかねぇ・・・」
「あー、大丈夫。獄寺君がケータイもってる。番号は、」
「僕にかけろと?」
「当然。」
「これだからマフィアは・・・!」
「♪」
電話を握りつぶしてしまいたい!

「あ、じゃあまたシナリオ作ろうか」
「・・・・そうですね」
さっきの電話も、僕とボンゴレで書いた台本だ。

「ボンゴレ、「綱吉」・・・アナタって、なんであんなに演技うまかったんですか?」
「ちょっと、結局名前で呼んでくれてないし。
 ・・・んー、わかんないや。正直俺も意外だった。」
「自分の演技のうまさが?」
「うん」
ここにきて、初めて、いつもの笑顔をボンゴレは見せた。
右手で頭をかきながら、えへへと笑う。

「いやー、あそこまで本気に悲鳴が出せるとは思わなかったな、俺も」
「そうですか」
ちなみに、僕が彼を蹴った(ということになっている)音は、僕がマネキンを蹴った音だ。
彼はしばらく、いつもの笑顔で笑っていた。



・・・

「よし、こんなもんかな」
「ですかね」
二人で台本を書き上げた。
「はい、ケータイ。」
「・・・なんでアナタのケータイ使わなくちゃいけないんですか」
「だってそのほうが感じ出るでしょ?俺のケータイもお前が持ってる、ってかんじの」
「はいはい・・・」
苦笑いをしながらケータイを受け取る。
何故だか、なんだか楽しくなってきていた。
自分たちが最強と思っているマフィアが、ボスをさらわれてどういう反応をするのか。
そのボスが、僕にこの事件を提案した張本人だと知ったら、どういう反応をするのか。

楽しい。
「クフフ・・・」

思わず笑みがこぼれる。
彼と一緒に、こうやって同じ集団をだますのは何故こんなに「楽しい」のだろう。
ああ、別にマフィアとかは関係ないんですよ?
別に、マフィアのはなを明かそうとしてることじゃないんです。

ただ、子供の遊びのようで。






プルル、プルルルル・・・・
二回目のコールで声が聞こえる。
『十代目!!?』
「ざんねんですねぇ、十代目でなくて。」
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