骸さん、大好きです。

□SS
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何時如何なる時も


「むくろー」
彼は僕にそう話しかけた。
「なんですか?」
僕は彼の方を向かずにそう答えた。
彼の方を向く時間が惜しい。
でも彼の方を見たい。

彼はいつものように笑って、言った。


「好きだよ」


いつものように、笑って、行った。
いつもの、ように、笑って、・・・・・・・・・逝った。

彼の後ろには銃をもったマフィアが立っていた。
やはり後ろを振り向いておけばよかったと後悔した。
後ろを振り向くと、彼が器用に僕の方を見ながら倒れていくところだった。
スローモーションのようにゆっくりと。
その顔は微笑んでいる。
僕は走り出した。
でも、夢の中のように足は進まない。
前へ、行こうとするのに行けない。
だから僕は、音の速さに感謝しつつ、叫んだ。



「僕も好きです」


一時再生が解けた。
彼は笑って逝った。
僕は彼を抱きしめた。
ぎりぎりのところで、地面に落ちるのをとめられた。
息はない。
僕は彼を右腕に抱きしめ、左手で彼の後ろにいたマフィアの心臓に槍を突き刺した。
衝いた人間はすぐに槍を振って落とした。
とりあえず、他の周りにいたマフィアたちには幻覚で足止めすることにして、






僕は彼を抱きしめた。
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