Book壱

□prince・prin
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「…なんでいんの」






「だって俺王子だもん」






小柄なその男はししっと笑った。






「帰れよ」






「むり」








長く伸びた金色の前髪が揺れる。







「なにしに来たんだよ」








てか、いきなりちょくちょく来るのやめろ、と言いつつ、獄寺は先程買って来たコンビニの袋の中身を取り出した。









「プリン」








ベルは読んでいた雑誌から目を離し、獄寺の持っている物を凝視した。








「…食うの」









「当たり前じゃん。なにしにここ来てると思ってんの」









「プリンかよ」








「うん」








こいつが家に来るようになってから、何でも二つ買うようになった。









そのひとつが、プリン。









いつも行くコンビニには無いから、少し遠いコンビニへ足を延ばす。









「ちょ、スプーンは?」








「おらよ」








獄寺は、スプーンを二つ取り出し、一つをベルへ渡した。









「あー、美味い」









「てめーはいつでもこーいうの食えんだろ」









「ばーか」








「は?」









ベルは隣に座った獄寺の顔を覗き込む。









「…あんだよ…」









直ぐそこにある整った顔立ちの少年に頬の紅潮を知られたくなくて、獄寺は俯いた。









「あんたと食べるからいーんじゃん」









「…なっ…」








「キスしよう」









「ばっ……」









ベルの唇が獄寺のそれに触れる。








「ま、駄目だって言っても無駄だけど」










「〜〜〜〜〜!!!」







だって俺、王子だもん。














End
 

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