Book壱
□ああ春よ!!!
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きっと
この出会いは偶然じゃない
僕が君を
手繰り寄せたんだ
「ふぃー。どーだランボ?スッキリしたか?」
「…してない!!」
「…な…生意気な…」
ぱしゃぱしゃと浴槽のお湯をランボにかけてやりながら、ディーノは眉間に皺を寄せた。
「…だって…」
ぷい、とランボは向かい合って入っていたディーノに背を向けた。
「…何だよ??」
ディーノは自分の肩をお湯で濡らす。
「なんか、ここがどくどくいうんだもん」
そう言ってランボは、自分の胸を指差した。
「…おいおい…」
ディーノは思わず目を逸らした。
それって………
(こんなガキ相手に……)
どうかしてら、とディーノは目を抑えた。
(ドキッとするなんてな)
一生の不覚だ。
「ディーノ、どうしたの?」
狭い浴槽の中で、ランボはディーノの紅潮した顔を覗き込んだ。
くりくりしたエメラルドの瞳が、不安げに揺れる。
お湯で張り付いた少し癖のある漆黒の髪も、
――――全てが俺は……
「ランボ……」
(好きだったんだ)