天辿翼詩〜記憶辿り〜

□舞い降りた少女
4ページ/6ページ

港には多数の船が着く

異国の商人等も、船にのり国に来る

夕刻でもまだ賑やかな港

――――――

「………ん」

布団の中で私は目覚めた

カナカナと蜩の鳴くのが聞こえる

「何処だろ…ここ」

起きるまで前のことは何もかも覚えてない

解るのは自分の名前くらい

身体がギシギシする

起き上がって襖の外に出た

「もう夕刻なんだ」

空は朱に染まっている

サワサワと竹林を通り抜ける風の音が、不思議

「目覚めたか」

不意に声がした

声の方を見ると、男の人がいた

「誰?」

「俺は那須陰春(ナスノカゲハル)。一応この社の当主だ」

「ナスノカゲハルさん?」

「陰春でいい」

「わかった」

陰春は私の傍まで来て、腰掛けた

何だか不思議な感じがする

「私はましろ」

「ましろか。似合う名だな」

クスッと笑う陰春

何か可笑しかったのかな?
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ