不死鳥の騎士団
□Disillusionment Charm
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ホグズミード休暇の翌日、フォーラは彼女のふくろうであるカイトがまだ寝ている彼女の髪を啄んだのをきっかけに目を覚ました。
「ん……あ、あら。カイト、おはよう。随分早いのね。誰かに入れてもらったの?」
カイトの脚には手紙が付けられていた。フォーラはつい先日、勉強の合間をぬって誰かに傍受されても構わないようなことを書き連ねた近況報告の手紙を両親に出していた。その返事を持って来たと見て間違い無いだろう。外から帰ってきたばかりでまだ冷たいカイトの羽を撫でてから、彼女が宛名を確認すると予想通り両親の名前があった。
(朝食時の便で運んで来なかったのは、リスクのあることが書かれているからなのかしら)
基本的にふくろう便は朝食の時間に一斉に生徒たちの元へ運ばれる。しかしカイトはわざわざその時間帯を避けてやってきたのだから、そう考えるのが妥当だ。
フォーラはベッドからもぞもぞと起きあがってふくろうフーズを取り出すと、カイトを膝の上で抱えるようにして温めながら彼に食べさせた。その間に手紙を広げると、先日の返事に加えてクリスマスの予定について記載されていた。
(今年もクリスマスパーティーをうちの邸で開く予定……参加者は例年通り。一部新規参加者あり……新規参加者および、いつも特別積極的に参加してくれるゲストには大切なお礼の時間を設ける予定。)
(ええと……参加者は例年通りって、つまり、ドラコやご両親もいらっしゃるということよね?そんな、どうしよう……。いつも通りならお招きしないなんて不自然だもの。
だけど私、ドラコとは仲が良く無いままなのに。父様も母様もそれを知らないけれど、まさかそんな程度のことを打ち明けて不安にさせるわけにはいかないわ)
フォーラは無意識のうちにゆっくりとカイトの羽をひたすらに撫でながら考えを巡らせていた。その間カイトは満足そうにぬくぬくと身体をフォーラに委ねた。
(それに、新しく誰かをお招きする……今までもそういった参列者の方はちらほらいらっしゃったのに、どうしてわざわざ手紙に書いたのかしら。
あとは、お礼の時間って……これも今までこんな風に書かれたことはなかったわ)
フォーラは手紙をもう一度読み返すと、何となくこの文章の言いたいところが見えた気がした。
(もしかして、クリスマスパーティーの時に父様たちはマルフォイ家に何か仕掛けるつもりなのかしら。
そして、新しい客人は……恐らくマルフォイ家と関係のある"誰か"とか)
パーティーの時を境に何か両親の騎士団としての作戦が動き始めるのかもしれない。そうなれば、フォーラとしては余計にドラコとの険悪な仲を両親に打ち明ける訳にはいかなかった。このことは騎士団の活動とは全く別の、ドラコとフォーラ二人だけの個人的な問題の筈だからだ。両親に要らぬ悩みの種をどれだけ小さくても与えるわけにはいかない。フォーラはこれからやってくるクリスマスの憂鬱な気分と一緒にカイトを抱きかかえた。
暫くしてフォーラの友人たちも皆起床した。彼女達が朝食時の大広間に着くと、突然アンブリッジが新しく制定した校則に関するニュースが耳に飛び込んできた。
「ねえ聞いた!?学校中のクラブチームが全部解散だって!」
「エーーーッ!?そんな馬鹿な!アンブリッジは一体何を考えてるっていうんだ?」
フォーラはその声を聞きながらパンジーやルニーと訳も分からず長椅子に着席した。隣で朝食を摂っていたスリザリン生に事情を尋ねると、どうやら今朝制定されたばかりの規則は必ずしも全てのクラブの活動が禁止されるという訳ではないようだ。アンブリッジに届出て、認可を得られれば活動を再開できるらしい。
「そっか、ならクィディッチは何の問題もないわけね」ルニーの言葉に続いてパンジーが疑問を投げかけた。
「でも、ホントにアンブリッジ先生は何を考えてると思う?今まで誰かと集まって活動するのに申請なんていらなかったじゃない。急にどうしたのかしら」