不死鳥の騎士団

□The note
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それから暫く経ったある日、勉強漬けの五年生への朗報が舞い込んできた。今年度初めてのホグズミード行きの日が決まったのだ。フォーラは今回のホグズミードにパンジー、ルニーと共に行こうと考えていたが、ある朝のふくろう便で手紙を受け取ったパンジーが嬉しそうな申し訳なさそうな様子で二人に謝罪してきたではないか。

「ごめん!今度のホグズミードは一緒に行けないわ。
去年のダンスパーティで一緒だったダームストラングの彼が、学校を卒業してからイギリスで働くことになったの!ロンドンの外れまで引っ越してきたから、休暇を取ってホグズミードまで会いに来てくれるんですって!」

あまりに突然のニュースにフォーラもルニーも思わず驚きの声を上げた。二人して大広間の長椅子から殆ど立ち上がっており、周囲の視線を感じてフォーラとルニーは恥ずかしげにそろそろと腰を下ろすと怒涛の勢いでパンジーへ質問攻めした。

「その一日の為にわざわざ来てくれるなんて素敵!
パンジーはもう彼とは付き合ってるって事でいいのよね?」

「彼のどんなところに惹かれたの?知りたいわ。」

「いっぺんに聞かないでよ、もう!恥ずかしいじゃない」

そう言ったパンジーは言葉に反して随分嬉しそうだった。遠くに住んでいた想い人がこんなに近くに越してきたとあっては喜ばない筈がない。

「きっと、パンジーが居るから、彼はイギリスへやってきたのかもしれない。それって、とっても凄いことだわ。」

フォーラが幸せそうにパンジーを見つめてそう言うと、パンジーは少し嬉しそうに慌てて首を横に振った。

「そんなまさか。やりたい仕事がこっちにあるって手紙でも書いてたんだから。勿論、お互い好き同士なのは多分、間違い無いけど……
とにかく!今度のお休みは二人で楽しんできて欲しいのよ。ごめんね」

「分かったわ。その代わり、お土産話はたっぷり聞かせてもらうわよ!」

フォーラはここ暫く思い悩むことが多かった分、久しぶりの幸せなニュースに胸が温かくなった。パンジーがこんなに嬉しそうにしていることをフォーラとルニーは本当に喜んだし、別の日に二人で中庭を横切りながら、当日のパンジーのデートコースを話し合ったりした。

「多分、パンジーなら"三本の箒"より"マダム・パディフッド"の喫茶店を選ぶんじゃない?こじんまりしていて話しやすいと思うし」ルニーが言った。

「そうね、確かにそうだわ。でも、少し装飾が可愛らしすぎるのが難点かも。」

「ああ、そうだったわ。彼の方があまり好まないかもね?
とにかく、私達はお昼は三本の箒の方へ行きましょうか。あそこならパンジー達と出会っても、あの子がこっちを気にせず彼と話せると思うし」

「いいと思う。そうしましょうーーー」

フォーラが言い終える前に誰か男子生徒がこちらに声をかけてきた。二人して振り返ると、他寮のいくらか見知った男子生徒二人がすぐ目の前までやって来ていた。

「やあ。ホグズミードの話をしてるのか?二人は一緒に行くんだろ?」

「あら。馬車で出会って以来かしら。
ええそうなの。パンジーがデートに行くことになったから二人でね」

ルニーがそう伝えると、もう一人の男子生徒がフォーラの側に立ち、彼女の手を取って尋ねた。

「じゃあさ、俺達と四人で一緒に行かない?俺、前からフォーラともっと話したいと思ってたんだ」

「え……?え!?わ、わたし?」

フォーラが突然のことに狼狽えていると、最初に声をかけてきた男子生徒もルニーの方へ詰め寄った。

「俺だってルニーに興味津々だとも。な、いいだろ?」

そう言って彼はルニーの肩に手を乗せたが、ルニーは反射的にその手を軽く払い除けてフォーラを自分の方へ引き寄せた。
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