不死鳥の騎士団

□my true face
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「ハリーが、自宅の近くで吸魂鬼(ディメンター)に襲われたと連絡があったわ」

それを聞いて一同騒然となった。なぜアズカバンの監獄にいるはずの吸魂鬼がマグルの住む町でハリーに出逢うことがある?モリーはイライラが抑えきれていない声で続けた。

「マンダンガス・フレッチャーが警護の筈なのに持ち場にいなかったなんて。あのろくでなしはいつか何かをやらかすと思っていたのよ。大体どうしてあんな盗人ーー」

「ママ!ハリーはどうしたのさ?」

モリーは前から盗人上がりのマンダンガスの事を気に入らなかった様子で、話しながら怒りが爆発しそうになっていた。彼女はフレッドに方向修正されて咳払いした。

「ハリーは吸魂鬼に『守護霊の呪文』を使ったそうよ。そしてそれが魔法省に伝わって、なんでも『退学処分』の通知をハリーに送ったとか」

「そんな!だって、ハリーは吸魂鬼に襲われたんでしょう?正当防衛なのに、どうして退学なんてさせられるはずがーー」

ハーマイオニーが憤慨した様子で言った。未成年の魔法使いは学校外で魔法を使ってはいけない。場合によっては退学がありえるが、今回のハリーの場合は完全な正当防衛で、退学になる筈がないのだ。彼女の後に魔法省への怒りを爆発させている子供達を宥めるように、モリーは急いで言葉を付け足した。

「退学になんて出来っこありませんよ。これから騎士団員がハリーを迎えに行って、ここへ連れ帰ってくるわ。急な事で皆んなバタバタしているけどーー」

「「「俺(僕)も行く!」」」

フレッドとジョージとロンの声が重なった。モリーは驚いた表情になってすぐに首を横に振った。双子が自分達は成人していると主張するのを無視してモリーは続けた。

「危険すぎます。途中で襲われるかも知れないのに!
貴方達はここで大人しくしていること。ハリーは恐らく今日の夕食までに着くと思いますよ。
それじゃ、母さんは会議があるので食堂に戻っていますから。
食堂には降りてこないこと。いいわね?」

モリーについていこうとした男性陣に念押しするように彼女はそう言い放ち、階下へと足早に去って行ってしまった。子供達は突然の事に互いに目を見交わして近くのロンの部屋へ集まり、今の事について意見が飛び交わせた。

「誰がハリーを護衛するんだろう?」

「そもそもどうしてマンダンガスはいなかったの?」

「なんで付いてっちゃいけない?俺達成人してるんだぜ!?」

そしてフォーラにはロンとハーマイオニーのやり取りが耳に付いて離れなかった。

「ハリーはここに来たら絶対カンカンだぞ・・。一ヶ月も一人で置いてけぼりだったんだから。手紙だって何通も来たのに、僕ら返事も出すのを禁止されてさ」

「そうね・・。でも、ダンブルドア先生の言いつけを守らなくちゃいけなかったんだもの。私達、本当に色々やったけど・・そうするしか方法がなかったわ」

「それにさ、・・」

その時フォーラは何となくロンがこちらを見ているような気がした。彼女はなんとなく彼の言いたいことが予想できていた。

「フォーラ、・・ハリーは多分僕とハーマイオニーに相当腹を立ててる。僕の予想じゃ、ハリーは怒りで話が頭に入らなくなってると思うんだ。
それでだけど・・ハリーは君の事を何も知らされていないから、きっと最初は君を見て驚くだろうし、詳しい話を聞く前に腹を立てるかもしれない。ほら、頭に血が登ってたら冷静に考えられないだろ?
凄く言いにくいけど、君は騎士団の敵のマルフォイと仲がいいから・・。」

ロンがそれ以上言わなくてもフォーラも十分にわかっていた。自分と幼馴染でいつも一緒にいたドラコ。そして彼の父親がヴォルデモート側にいる。騎士団が彼らと戦うための組織であり、自分や両親がその仲間に加わっている事を知らなければ彼女がここにいることに誰でも驚くし、不信に思うに決まっている。
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