不死鳥の騎士団

□chocolate cakes with him
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フォーラはルーピンと約束してからーーーそう、彼女の両親の事をここにいる間に一旦考えないようにすると約束してから数日が経ったが、きちんとそれを守って日々を過ごしていた。どうしても思い出しそうになる瞬間はあった。だが、ルーピンがきっと両親との新しい関係を築けると断言してくれた。肩の荷が下りたわけではないが、それを信じる事で自分でも前よりいくらか笑顔が増えたように思ったし、何よりいらぬ事をーーー両親のことやドラコのことも考える回数が随分減った。


この日、子供たちは久しぶりにモリーから屋敷の掃除を免除されていた。シリウスの母の屋敷は随分使われておらず初めは埃や蜘蛛の巣で一杯だったが、モリーと子供達やシリウスの努力の甲斐あって随分片付いてきたため、今日は一日お休みとなったのだ。

ハーマイオニーはフォーラが見る限り毎日日刊預言者新聞に目を通しては何かヴォルデモートの復活について真新しい記事が無いかと隅から隅まで調べていたが、とうとうこの日は気が抜けたのか、ダイニングテーブルに広げた新聞を早々に畳んでしまっていた。彼女の近くにはジニーが座っていて、その向こうでロンと双子がチェスに興じていた。

ハーマイオニーが言った。

「収穫なし。またいつも通り記事の至る所にハリーの名前が散らばっているだけだわ」

終業式のあの日、ダンブルドアから学校中にハリーがヴォルデモートの復活を見たと話があった。それは瞬く間に魔法界に広まったが、残念ながら正しい情報としては伝わらなかった。新聞は闇の帝王の復活がハリーの戯言だと宣言していた。そして新聞の各記事に散らばった彼の名前は比喩的に使用され(『あんな事をしでかすとは、まるでハリー・ポッター同然だ』など)、印象操作を成功させていた。

「ハリーはきっと新聞を読んでいるから、とっても辛い筈よ。何故こんな事になっているかわけがわからないでしょうし、ダンブルドアから口止めされているから、私達からも伝えてあげられないし・・・」

フォーラがハーマイオニーから聞いた話によると、どうやら日刊預言者新聞は魔法省の指示通り動いているのだという。この屋敷でフォーラが初めて日刊預言者新聞の話を耳にした時に彼女が教えてくれた。

フォーラは朝食の片付いたキッチンの向こう側でボウルを数種類準備しながら、何日か前のハーマイオニーの言葉を思い出していた。

『魔法大臣のファッジはダンブルドアより確実に力が劣っているのを自分でわかっているのよ。それに、ダンブルドアがハリーを使って大臣の座を奪い取ろうとしてるって、そう考えているわけ。』

フォーラが言った。

「・・早く、新聞が本当の事を伝える日がくればいいのに。それには、もう大臣が変わるしか無いのかしら・・?」

するとチェスを傍観していたフレッドがこちらに言葉を投げかけてきた。

「もう一つだけ方法があるぜ。ファッジの目の前に『例のあの人』を突きつけてやるのさ」
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