炎のゴブレット

□pure red
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校長室でひとしきり話し合った後、フォーラ達家族はダンブルドアの部屋から続く応接室でダンブルドアから3人だけの時間を貰っていた。
あまりにも突然のことが多すぎたため、フォーラは頭の中を整理する必要があった。
それに、久しぶりに出会ってすぐ別れるのも惜しまれる。先程の話の続きをするなら校内のどこよりこの部屋が安全だった。

「すまない、いきなり多くのことを知って混乱しただろう」

フォーラの目の前の肘掛椅子に座った父親がそう言ったのに対し彼女は頷いた。

「ええ、でも、・・・まだ、わからないことばかりだけれど、今は随分落ち着いたと思うの。」

フォーラはほんの少しの間だけ、目を閉じた。体全体がざわざわとして落ち着かない。焦りと困惑の炎がちらちらと心臓の内側を撫ぜているような感覚だった。

フォーラは静かに目をあけた。その表情からはどこか険しさが伺えた。

「・・・ねえ、父様、母様。
まだ他に知っていることがあったら、教えて欲しいわ。私・・・」

フォーラは続きを言いかけて、その後は何も言えない様子だった。二人とも彼女を心配したが、とにかくこの場で思い出せる限りの話をした。


リプトニーが言った。

「そうね・・・。真実を知った今思い返してみると、いくらか今までのことに納得できる部分があると思うの。

フォーラはドラコと3歳からの幼馴染でしょう。
あなたを引き取ってからも、私達はあなたが3歳になるまでブルガリアに住んでいたの。

マルフォイ家に虚偽の出産報告はあえてしていたけれど・・・シェードの仕事は忙しかったし、引き取ってすぐのフォーラの身体が弱かったというのもあって、ルシウスにはポートキーや姿現しでブルガリアには来ないで欲しいと伝えていたわ。」

「・・じゃあ、おじさまは、訪ねてこなかったのね。」

リプトニーは頷いた。
「ええ、もちろん彼はそれを守ってくれた。

でも、どちらかと言うと、赤ちゃんのあなたと出会ったばかりの段階で、死喰い人だったルシウスの前で私が平然としていられる自信がなかったのが大きな理由だったの・・。」

母親の当時を思う表情を見て、フォーラはまた心臓が炎の先に撫でられたようになった。じりじりと熱くて、痛い。

「・・そう・・・。

・・それじゃあ、・・・屋敷の人達も、誰も私の本当の事を知らないの?」

お裁縫の好きなマリア、それに自分が屋敷にいるより前からいるその他の2人すら、自分の秘密を知らされていないのだろうか。
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