炎のゴブレット

□time with her
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ホグズミード休暇の夜は皆穏やかに過ごした。ただしフォーラとドラコを除いて。

「フォーラ」

「!」

夕食後、ドラコはようやく談話室でルニーやパンジーと過ごす彼女を見つけた。夕暮れ時から今までフォーラは巧みにドラコの前から姿を消していたが、それも長くは続かなかった。

ドラコがもう談話室にやってくる頃だろうと思い、ちょうど自分だけ女子寮に上がろうとしていたところだった。上手い具合に捕まってしまった。フォーラは思わずドラコを見上げたが、目が合う前、彼の声を聞いた時から彼女の顔は真っ赤になっていた。

余程自分は悪いことをしてしまっていたようだと改めてドラコは思った。彼女にこんな顔をさせてしまうなんて。
ドラコがフォーラの表情に気を取られた一瞬のうちに、彼女はサッと立ち上がった。

「え、と、・・・お、おやすみなさい!」

「えっ」

あっという間に黒猫になると、フォーラはピューッと女子寮へと消えて行ってしまった。一瞬の出来事に呆然とする彼に、ルニーとパンジーは訳も分からず女子寮の入り口とドラコを交互に見た。

「・・・え?何?」

ルニーの質問にドラコは明らかに目を泳がせた。こんなこと、彼女達に言えば相当非難されるに決まっていた。

「〜〜〜い、いや、・・・えっと・・・」





「「ええーーー!!?ドラコ最低!!!」」

「ば、馬鹿、声がでかい!!」

ルニーとパンジーは何があったかすぐに話そうとしないドラコに苛立って彼を問い詰めた。それがまさ彼の口からこんな話が出てくるとは思いもしなかった。

「し、・・・仕方ないだろ、僕だって、そんなこと・・・そんなこと気付いていたらしてなかったさ!」

口にするのも恥ずかしいのか、ドラコは勇気を振り絞って言葉をぶちまけるように言った。

パンジーが悩まし気な様子で腕を抱えた。
「まあ・・・こればっかりはしょうがないかもしれないけど・・ねえ」

ルニーとパンジーは互いに顔を見合わせ、『せっかくチャンスだったみたいなのに』とため息をついたのだった。


それから少しの間、ドラコとフォーラは言わずもがな気不味い様子だった。しかしドラコの歩み寄りもあって、数日もすればフォーラはドラコと普通に話すまでに戻ることが出来ていた。お互いにもうあの時のことは水に流して、暗黙の了解でなかったことになったのだ。
また、あれからというものドラコは以前に比べて更にハリー達に嫌悪感と苛立ちを露わにしていた。それに気づいてハーマイオニーは心の中で苦笑いを浮かべ、正直彼とフォーラの時間を邪魔したことを申し訳なく思ったのだった。
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