炎のゴブレット

□an appointment
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「あ・・・」

「!・・・や、やあ」


新学期が始まったこの日、フォーラは最近随分話していなかった人と珍しく廊下でばったり出くわした。
その人は何処か「しまったな」とでもいったように少し引きつった笑みを浮かべていた。彼がそんな顔をするのも無理なかった。

「ロン、・・・その、久しぶり。

元気にしてた?」

ロンはフォーラにふられてからというもの、彼女をできるだけ避けて過ごしてきた。
ダンスパーティの時こそやはり頑張って話しかけなくてはと思っていた。しかしフォーラが自分の兄ーージョージと共に楽しそうに過ごす姿を目の当たりにして、自分の不甲斐なさのようなものを感じ、すっかり彼女と改めて友達になろうという気持ちは萎えてしまっていたのだ。

そんな矢先、久しぶりにまともにフォーラの顔を見て狼狽えるなという方が無理があった。
何せロンはフォーラがジョージを好きだと思い込んでいたからだ。

ロンがフォーラの質問にぎこちなく答える。

「う、うん。まあまあかな・・・。えっとーーフォーラは?最近・・・」

(最近ジョージとどうだい?なんて・・聞けるはずないじゃないか)

「ええ、元気よ。
授業が始まって、少しだけ休みが恋しいけれど・・。

・・・あ、そう言えば、・・もう来月には、第2の課題でしょう?
ハリーは順調?」

フォーラは至って普通に、この気まずい空気を取り去るように話題を振った。ロンだって馬鹿ではない。彼にだって今のこの空気は十分読み取れている。

「えーっと、この間聞いた時は、順調そうだったよ。
もうヒントは掴んでるって言ってた」

それはまだヒントをつかんでいないハリーの強がりでしかなかったが、ロンは無論それを信じていた。

「そう・・・。よかったわ。」

「うん・・・」
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