炎のゴブレット

□she and her family
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ダンスパーティが終わり、その余韻を残しつつ生徒達は各々の寮へと戻って行った。
フォーラも他のスリザリン生同様にスリザリンの談話室へと戻ってきたところだった。ここに来るまでの間、ジョージの事が気がかりで仕方なかった。去り際の彼の何処と無く切なげな表情を読み取っていたのに、わざと大丈夫かと声をかけなかったからだ。
だが、むしろそれでよかったとも思った。もし尋ねたりしたら、まるで・・・まるで、無理に彼に思いの丈を言わせるかの様になりかねなかったかもしれない。今日の今日でようやく確信した彼の想いだが、気持ちに応えられない癖に、あたかも優しく気にかけている風を装う事の方がよっぽど残酷だと思った。

(ジョージとは、これまで通りでいたいもの・・・。また、ロンと同じようになってしまうのは嫌。

・・・こんなこと考えて、すごく勝手だって、わかっているのに・・・。)

とにかく今は、今日の楽しかったことを思い出そう。フォーラは周囲の疲れ切ってそれでいて楽しそうに今日の事を話す寮生達を見てそう思ったのだった。




それからフォーラは談話室を横切る際、ちらりと辺りの肘掛け椅子に座る生徒を盗み見た。しかしその中にドラコの姿は見られなかった。
そのことにフォーラは何処か安心した様子だったーーーあんなことを言われて恥ずかしくなって、逃げるように彼の元から去ってしまったことを思うと今のところは合わせる顔がなかった。
フォーラはそんな自分自身にこう言い聞かせるようにしながら女子寮に上がったのだった。

(だ、大丈夫。多分、そんなに不自然ではなかった・・・と思うもの。
明日会っても、いつも通りでいられるわ。)





「はあ」

その頃ドラコは男子寮でドレスローブを脱ぎ、就寝の準備をしているところだった。思わず漏れたため息の原因はもれなくフォーラだった。


『わ、私、そんな、あのっ・・・

ま、また、談話室で会いましょう・・・!それじゃ・・・!』

あんなに赤くなってそう言った彼女の事を思い出すだけで、自分の心臓がむず痒くなる。

ドラコはベッドのカーテンをシャッと閉めて枕に勢いよく顔を埋めた。

(明日・・・朝起きて彼女を見たらどうすればいい?いつも通りの顔ができるだろうか?
と、とにかく挨拶だ。それ以外に何がある。
別にフォーラが僕を意識しているかも知れないからといって、そうだとは限らないんだ。あまり浮かれるんじゃない。今回はパーティドレスで、普段と違ったから彼女は必要以上に恥ずかしがっていただけなんだ。

きっと明日のフォーラは、今までと同じように微笑んで挨拶してくるんだから)
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