炎のゴブレット

□with you: first volume
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そしてとうとうクリスマスの日がやって来た。朝フォーラの目が覚めた頃はまだ同室の誰も起き出してはいなかった。

ふとベッドの脇を見やると、そこには自分宛のクリスマスプレゼントが小さな山を作っていた。手に取ってみるとお馴染みの顔触れや、少し珍しい人からの贈り物なんかもあった。
勿論パンジーやルニーのところには自分からの贈り物が置いてある筈だ。

(まあ、ルーピン先生、わざわざ送ってくださったのね。私からも贈り物をしておいて本当によかった。
こっちはセブルスさんだわ。今日お会いしたら御礼を言わなくちゃ)


一先ずパンジー達を起こし、クリスマスが来たことを伝える。すると彼女達はハッと起き上がり、普段より寝覚めが良い状態でベッドを降りた。

パンジーが言う。
「城でクリスマスを迎えるのって、なんだか新鮮だわーーあっ!ルニー、あなた最高ね、これ私が欲しかったやつよ」

プレゼントの包装を各自開きながら会話を投げる。互いの贈り物の御礼を言いながら朝から会話が弾んだ。

フォーラが次に開けた包にはお洒落なティーセットが入っていた。こんな可愛らしいカップを送ってくれたのは誰なのだろうと思い宛名を探すと、箱の隅に無造作に入れられた小さな手紙を見つけた。

『フォーラへ

メリー・クリスマス。多分今頃フォーラは俺からのプレゼントを見て"柄じゃない"と思ってる事だろう。
もちろん俺もそう思う。

パーティで会うのを楽しみにしてる。また後で。

ジョージ』

簡単に綴られた手紙に、フォーラは確かに"らしくない"と感じた。もっとふざけるかと思ったのに。とっても素敵なプレゼントだ。
ふとポットの蓋の隙間から何かビニールの切れ端のようなものがはみ出しているのに気づき蓋を開けた。
するとその中にはおそらくフレッドとジョージの作ったイタズラ用のお菓子が一つ一つフィルムに包まれて所狭しと詰められていたのだ。これを見てフォーラは前言撤回した。

そしてその後次々にプレゼントを開封し、ようやく残り一つとなった。

(あ・・・)

最後に手に取ったプレゼントはドラコからの物だった。彼への想いを自覚した今、妙な恥ずかしさがこみ上げてくると同時に嬉しくもあった。
勿論ドラコからプレゼントが贈られてくることはわかっていたが、それでも自然と笑顔になってしまうのは抑えられなかった。

更にその包の外側にはリボンで一緒に留められた手紙があった。開いてみると随分とシンプルで、短い文章が綴られていた。

『フォーラへ

気に入ってくれるといいんだが。

メリー・クリスマス

ドラコ』

こんなにも短いのに、フォーラには手に取るようにドラコの言いたいことがわかった。普段は素直になれない分、文章でありのままを書こうとした結果、結局どこか素っ気ないものになってしまった。そんなところだろう。
朝起きて談話室に行けばすぐ会話できる距離にいるのに、わざわざ自分宛に手紙を付けてくれたことが何より嬉しかった。
それにこの手紙だけでついこの間までの行き場のない気持ちも一時的に忘れることができる気がした。
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