炎のゴブレット
□welcome
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10月、ハロウィーン一週間前のある日、玄関ホールに掲示板が出現した。三大魔法学校対抗試合の張り出しだった。内容はボーバトンとダームストラングの代表団が10月30日金曜日、午後6時に到着するため、それを出迎えるというものだ。
パンジーがワクワクした様子で言った。
「あとたった一週間よ!今から凄く楽しみ!ホグワーツからは誰が代表選手に選ばれるのかしら?」
掲示を見ながら隣にいたルニーが考えた。
「うーーん、そうね、私は個人的にハッフルパフのセドリックがいいわ。だってなんでも卒なくこなすし」
「ディゴリーか・・・」
ドラコがセドリックに最後に遭ったのはフォーラの家のクリスマスパーティーの時だった。あの時彼に言われた言葉が頭の中を横切った。早くしないと誰かに取られてしまうよ。そう言われて焦ったドラコはフォーラに告白しようとしたーー。結局彼女の前で何も言葉が出てこなかったのを今でも鮮明に覚えている。
「・・・ドラコ?」
少し考え込んでいたせいでボーッとしてしまった。フォーラがドラコの顔を覗き込む。少し近いように感じて気恥ずかしい。
なんでもない。ドラコがそう返そうとした時、それを言う前にフォーラは何故かハッとしてドラコから一歩離れた。
「・・・?」
どうしたのだろうと彼女を見れば、フォーラは合わせていた目線を慌てて下げて「ご、ごめんなさい。」と答えた。
やっぱり、最近の彼女は様子がおかしい。
(どうせフォーラの事だ。僕に好きな人がいると知って変に気を使ってるんだな。全く何にもわかってないのに変な気を回すな!
余計にこっちが辛くなるだろ・・・)
玄関ホールの掲示板は城の住人にはっきりと影響を与えた。何せ何処へ行くにしても誰もが「三校対抗試合」の話をしていた。ホグワーツからは誰が選ばれるのか、また後の二校はどの様な出立で、どうやってホグワーツまで来るのかなどなど、話題は尽きなかった。
加えて城中の埃という埃が取り払われ、絵画や甲冑は磨き上げられていると来たものだから余計にお客が来ることを彷彿とさせた。
そしてとうとう待ちに待った10月30日。大広間の装飾もおわり、この日は心地よい期待感で皆満ち溢れていた。 夕方にボーバトンとダームストラングが来るというから殆どの生徒はこの日の授業に身が入っていなかった。
最後の授業が終わると生徒たちは寮へ鞄を置いてマントを羽織り、直ぐに玄関ホールへと集まった。スリザリンはスネイプに整列させられて他の寮に続いて正面玄関の階段を出た。
全生徒が城の正面に並び、遠方からの来客を待ちわびた。晴れた、寒い夕方だった。