炎のゴブレット

□like
1ページ/9ページ

(今日のフォーラはいつもより随分話してたな。散歩に誘ってホントによかった。まさかこんなに話せるとは思ってなかったし。それに、ちょっと勇気出せたのもよかったかな)

城へ戻る道を二人で歩きながらジョージは先程までの事を考えていた。フォーラは自分の事を一体どう思ってくれているのだろうか。今日ので少しは意識してくれるようになっただろうか?いや、フォーラは鈍感だからもう少し押すべきかもしれない。
喋りながら色々考えていたらあっという間に城に着いてしまった。夕食前に一旦自分の寮に戻るのだ。ジョージは去り際に気の利いた言葉でもかけるつもりだったのだが、階段のところでフォーラが笑顔で振り返るのを見ていたら何も言えなかった。

「また、時間があればお話しましょうね」

「ああ、そうだな。今日は楽しかった。ありがとな」

「こちらこそ。
それじゃ、また大広間で」

その場で手を振るフォーラ。どうやら階段をのぼるまで見送ってくれるらしい。そんなことしなくてもいいのに。何だが急に恥ずかしくなってジョージも彼女に手を振ると階段を駆け上がって行ったのだった。






フォーラが階段に向かって手を振る姿が目に入った。誰かと会っていたのだろうか?声をかけようか、そう思うと同時くらいのタイミングでフォーラがこちらを振り返った。目が合うと、驚いたような嬉しそうな顔でこちらに手を振って来る。

(ああもうくそ、かわいいな)

「フォーラ、そんなところでどうしたんだ」

彼女に近づきながらドラコがそう言えば、フォーラは正直に「ジョージとお話ししていて、彼を見送ったところなの」と答えた。

「なっ」

(くそっ、あの双子の片割れめ・・・!!僕がいない間にフォーラに近づくなんていい度胸だな・・・)

「なかなか寮に戻ってこないからどうしたのかと思って心配してたんだが、時間の無駄だったみたいだな」

少し口調がイライラしているように聞こえるのを抑えて発言したつもりだったのだが、フォーラにもドラコの機嫌が少し悪いのが今のでわかってしまった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ