炎のゴブレット

□letter
1ページ/7ページ

ホグワーツ特急がホグズミード駅に到着する頃には辺りは土砂降りだった。びしょ濡れになりながらようやく玄関ホールをくぐって中に入ると、懐かしい場所に妙にホッとした。しかしそれと同時に少し寂しい気持ちになった。何故ならここは昨年度自分がルーピンと最後に話した場所だからだ。夏休みを挟んで彼への気持ちは随分和らいでいた。もう諦めも十分ついているつもりだ。しかしそれでも思い出してしまうのは、あれからまだたった2ヶ月程しか経っていないせいだろうと思った。



大広間に入ると魔法の天井は大雨を映していたが、飾り付けはそれは素晴らしいものだった。教職員テーブルにスネイプの姿を見つけるとフォーラは彼に手を振った。スネイプはぶっきらぼうに頷いただけだったが、フォーラはそれで十分だった。

「『闇の魔術に対する防衛術』の教師がまだいないな」

ドラコが教職員テーブルを見渡しながら言った。ルニーやパンジー達もそちらを見た。確かに以前ルーピンが座っていたであろう場所には誰も座っていない。

「もしかしてとうとう見つからなかったとか?」

パンジーがそう言ったが、組み分け帽子の後のディナーが終わるとその人は現れた。それはダンブルドアが話している最中の事だった。

「いつもの通り、校庭内にある森は、生徒立ち入り禁止。
寮対抗のクィディッチ試合は今年は取りやめじゃ。これを知らせるのはわしの辛い役目での」

「エーッ!!」

ドラコもハリーも絶句していた。フレッドとジョージも言葉が出てこないのか、ダンブルドアに向かって口をパクパクさせていた。

「これは十月に始まり、今学年の終わりまで続くイベントのためじゃ。先生方も殆どの時間とエネルギーをこの行事の為に費やす事になるーーーしかしじゃ、わしは皆がこの行事を大いに楽しむであろうと確信しておる。
ここに大いなる喜びを持って発表しよう。今年、ホグワーツでーーー」

ちょうどこの時、耳を劈く雷鳴と共に大広間の扉がバタンと開いた。戸口には一人の男が立っていた。長いステッキに寄りかかり、黒い旅行マントを纏っている。大広間の頭という頭が一斉に見知らぬ男に向けられた。
男はフードを脱ぎ、馬の鬣(たてがみ)のような長い暗褐色まだらの髪をブルッと振るうと、教職員テーブルに向かって歩き出した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ